研究実績の概要 |
「批判的思考力」に関する教員の意識を知ることを目的に、協定校の歯科大学教員を対象に、2020年12月にオンラインで意見聴取し、その結果を踏まえて質問調査票を作成し、2021年7月-8月にかけて協定校の教員にメールでの回答を依頼した。さらにオンラインフォーラムへの参加を呼びかけたところ、4か国(タイ、ベトナム、英国、カナダ)から7名の教員が参加した。その結果をまとめたものを2022年8月にJournal of Dental Sciences誌にShort Communication として発表した。質問票調査での質問項目は主に以下の4項目であった。 1. 「批判的思考力」の定義, 2. 「批判的思考力」の重要度とその理由, 3. 勤務先歯科大学の現行カリキュラムにおける「批判的思考力」育成を目指した科目の有無, 4. 「批判的思考力」育成における課題 いずれの歯科大学においても「批判的思考力」は重要で(4段階中、「重要」43%、「とても重要」57%)、「批判的思考力」育成を念頭においた科目の設定があると回答したのは71%に及んだ。一方で8割以上の教員が「批判的思考力」育成に課題を抱えており、「批判的思考力」のようなソフトスキル育成には、時間的制約、人員不足、教員側の意識改革や研修の必要性が挙げられていた。 歯学教育において、批判的思考力の重要性が広く認識されている一方、その具体的な教育方法や評価は定まっていないことがわかった。特にアジアにおいては、批判的思考力育成への教員の意識や取組に関する情報が少なく、欧米の知見をそのまま適用することは社会・文化的背景から困難が予想された。そこで、アジアにおける批判的思考力育成に寄与するカリキュラムを開発することを目的としたワークショップを2022年8月に開催し、タイ、ベトナム、台湾、英国、日本の教員が参加して検討を行い、その結果を学会報告した。
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