研究実績の概要 |
免疫再構築症候群は、AIDS患者の回復期にみられる疾患だが、近年は高齢者で多数出現する自己免疫疾患に対する生物学的製剤の投与中止でも起こることが報告されている。この疾患は、急激な免疫抑制の解除で免疫機能が再構築されて、微生物感染に対する過剰な免疫反応が起こるものでカンジダ症も含まれる。本研究は、免疫再構築症候群としてのカンジダ症に特有の発症メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は、以下の結果を得た。1. Candida albicans, C. tropicalis, または C. glabrata 感染後摘出したマウス脾臓を検討した結果、C. albicans による有意な IL-1α, IL-1β, IL-6 及び MCP-1 産生がみられたが、TNF-α, MIP-1α, IL-17 及び IL-33 の産生は認められなかった。一方、C. tropicalis の場合は、IL-1α, IL-1β 及び MIP-1α 産生がみられた。そして、C. glabrata では、IL-1α 産生のみ非感染マウスより有意に高かった。2. C. albicans を ICR マウスに10の8乗CFU感染させた場合は0%の生存率で、10の7乗CFUでは60%であった。C. tropicalis 10の8乗CFU感染では20%の生存率、10の7乗CFUでは100%だった。また、C. glabrata を10の8乗CFU感染で40%の生存率、10の7乗CFUでは100%の生存率であった。3. T細胞欠損の BALB/cAJcl-nu/nu ヌードマウスでは、C. tropicalis 10の8乗CFU感染で10%、10の7乗CFUでは20%の生存率であった。一方、C. glabrata では10の8乗CFU感染で10%、10の7乗CFUでは100%の生存率であった。
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