研究実績の概要 |
免疫再構築症候群は、AIDS患者の回復期にみられる疾患だが、近年は高齢者で多数出現する自己免疫疾患に対する生物学的製剤の投与中止でも起こることが報告されている。この疾患は、急激な免疫抑制の解除で免疫機能が再構築されて、微生物感染に対する過剰な免疫反応が起こるものでカンジダ症も含まれる。本研究は、免疫再構築症候群としてのカンジダ症に特有の発症メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は、T細胞機能が低下した免疫不全のヌードマウス(BALB/cAJcl-nu/nu マウス)を使用して、ノンアルビカンスカンジダの中でもカンジダ血症の原因となる頻度が高い C. tropicalis と C. glabrata の病原性を調べ、以下の結果を得た。① C. tropicalis を BALB/cAJcl-nu/nu マウスに腹腔感染させた場合には10%の生存率で、同菌感染による脾臓細胞の IL-1α 産生がみられた。一方、正常マウス (ICR マウス) の生存率は20%で、C. tropicalis 感染によって ICR マウス脾臓細胞の IL-1α, IL-1β および MIP-1α 産生が増加した。② C. glabrata を BALB/cAJcl-nu/nu マウスに腹腔感染させた場合には10%の生存率で、脾臓細胞の IL-1α, IL-1β および MIP-1α の産生が有意に増加した。一方、ICR マウスの生存率は40%で、同菌感染によって 脾臓細胞の IL-1α 産生が増加した。
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