研究課題/領域番号 |
20K10253
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
葭葉 清香 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (60555358)
|
研究分担者 |
鎌谷 宇明 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00315003)
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
栗原 祐史 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (90514969)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 口腔内細菌叢 / メタゲノム解析 / 心臓弁膜症 |
研究実績の概要 |
口腔内常在菌や細菌由来の内毒素が血管内に入り込むと、菌体やその成分による直接的な傷害作用やサイトカイン産生、免疫担当細胞の応答へ影響を及ぼし、全身の各種疾患の進行に関与すると報告されている(Han YW, J Dent Res, 2013, Van Dyke TE, J Periodontol, 2008)。口腔内常在菌が各種の全身疾患と関連があることが近年の研究で明らかにされつつあるが、疾患との関連を、ゲノムDNAを網羅的に解析することにより、菌種組成や菌叢の持つ機能について着目し検討した報告は未だ認められない。 本研究では、心臓弁膜症患者における手術時の摘出弁組織と口腔内プラークから検出されたDNAについて次世代シーケンサーを用いたメタゲノムのショットガンシーケンスを行い、口腔内細菌の心臓弁膜症の病態・進行度への関与を明らかにし、有効な周術期口腔機能管理法の確立を行うことを目的とした。 メタゲノム解析結果より、口腔内プラークからは、偏性嫌気性菌であるPrevotella属、グラム陽性のレンサ球菌であるStreptococcus属、グラム陽性桿菌に分類されるActinomyces属などが多く同定された。一方、大動脈弁からは、偏性嫌気性菌であるClostridioides属、グラム陰性、好気性の従属栄養細菌であるCorallococcus属、グラム陽性桿菌であるNocardia属が多く同定された。口腔内プラークから同定された細菌叢は、大動脈弁中から同定された菌叢とは大きく異なる様相を示していた。また、心臓弁検体は、菌叢の特性により、GroupAとGroupBの大きく2つのグループに分類される傾向があった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦となり、診療制限があった関係で、臨床検体の収集が予定通りに進まなかった。臨床検体におけるDNA抽出条件の検討に時間がかかった。
|
今後の研究の推進方策 |
得られたメタゲノム解析結果と、臨床情報との相関を図り、論文執筆を進めていく。心臓弁膜症の病態や進行に関与する細菌種を同定し、口腔衛生管理の指標を確立していく。次年度、メタゲノム解析の検証のためのPCR試料費、学術集会への発表費用、論文構成費に残金を使用する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響で診療制限があったことから、臨床検体の収集がスムーズに進まなかった。DNA抽出条件、シークエンサーを使用した解析についての準備はできているため、臨床検体の準備が整い次第、順次解析を進めていく。
|