研究課題/領域番号 |
20K10253
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
葭葉 清香 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (60555358)
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研究分担者 |
鎌谷 宇明 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00315003)
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 講師 (50325099)
栗原 祐史 昭和大学, 歯学部, 客員教授 (90514969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔内細菌叢 / 大動脈弁狭窄症 / メタゲノム解析 / 周術期口腔機能管理 |
研究実績の概要 |
口腔内常在菌や細菌由来の内毒素が血管内に入り込むと、菌体やその成分による直接的な傷害作用やサイトカイン産生、免疫担当細胞の応答へ影響を及ぼし、全身の各種疾患の進行に関与すると報告されている。口腔内常在菌が各種の全身疾患と関連があることが近年の研究で明らかにされつつあるが、疾患との関連を、ゲノムDNAを網羅的に解析することにより、菌種組成や菌叢の持つ機能について着目し検討した報告は未だ認められない。本研究では、大動脈弁狭窄症患者における手術時の摘出弁組織と口腔内プラークから検出されたDNAについて次世代シーケンサーを用いたメタゲノムのショットガンシーケンスを行い、口腔内細菌大動脈弁狭窄症の病態・進行度への関与を明らかにし、有効な周術期口腔機能管理法の確立を行うことを目的とし研究を進めた。 最終年後は、口腔内細菌、心臓弁組織中から検出された細菌のクローナリティー解析、臨床因子との関連についての解析を行った。令和2~4年の解析より得られた口腔内細菌、心臓弁組織中の細菌を比較し、同一菌種が同定されるかを検討した。また、口腔内の残存歯、歯周ポケット、全身既往、血液データ(TP、Alb)、周術期に伴う合併症などの各種臨床因子との相関について解析した。 研究の結果から、大動脈弁狭窄症患者から採取した心臓弁組織は主座標分析を使用すると大きく2群(GroupA、GroupB)に分類されることが分かった。GroupBにおいては、病気分類でsevereの症例、大動脈弁口の面積が1cm2以下の症例が多く含まれる傾向にあった。大動脈弁組織における2群間の口腔内状況について比較するために、DMFT歯率、舌背の細菌数、プロービング時の出血について検討を行った。GroupBの患者では、舌背の細菌数が多くなっており、プロービング時の出血の割合が多くなっていた。 以上より、適切な口腔衛生管理は大動脈弁狭窄症の予防と治療に貢献する可能性があることが示唆された。
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