研究課題/領域番号 |
20K10256
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
福本 雅彦 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50175569)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PDD / 口腔扁平上皮癌 / 蛍光プレートリーダー |
研究実績の概要 |
ヒト口腔癌由来扁平上皮癌細胞株を用いて細胞内に5-aminolevulinic acid(以下、5-ALA)を取り込み、PpⅨを蓄積させ励起波長405mにて励起光を照射し630nm波長帯にて蛍光が確認すると共に5-ALAの最適濃度を検討した。 ヒト口腔癌由来扁平上皮癌細胞株であるHSC-2、HSC-3、HSC-4、Sa-3および対照群としてヒト正常口腔粘膜細胞株(NHOK)を実験に供した。細胞株は直径10㎝のディッシュ上で非動化済10%ウシ胎児血清および2%ペニシリン添加Doulbeccos Modified Eagles Medium(DMEM)を用いて5%CO2下37℃で培養した。80%コンフルエンスを目途に継代した。培養細胞をPBSにて2度洗浄後、Trypsin EDTAを2分間作用しディッシュより剥離し遠心分離(1000rpm×5min)を行い細胞回収した。回収した各細胞株を蛍光用96wellプレートに1×103~5/wellとなるよう、それぞれ播種し5-ALAを作用させ細胞により代謝され生じるプロトポルフィリンⅨ(PpI Ⅸ)に対して蛍光プレートリーダーを用いて400~440nmの励起波長により蛍光する630nm波長帯の蛍光強度を経時的に測定した。また、蛍光強度を増強する目的でdeferoxamine mesylate(DFO)の添加を試みた結果として細胞蛍光強度はDFO 5mmolで最も強化されることが確認された。尚、DFOの細胞毒性は前年度の準備実験で確認し、DFO 5mmolにおいては毒性はないことを確認済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常口腔粘膜細胞の対照群と比較していずれの口腔扁平上皮株も有意に高い蛍光強度を示した。また、5-ALAの最適濃度は2mmolであった。 deferoxamine mesylate(DFO)の毒性試験のため回収した細胞にDFO 5μmol、50μmol、500μmol、5mmol各濃度を作用させ細胞生存を確認した。その結果いずれの濃度においても細胞毒性は認められなかった。DFOによる蛍光強度の増強は5mmolで最も顕著であった。 また、チェサイドでの判定を目指す目的で小型の測定器の開発を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、最適の蛍光強度を得るためには、どのくらいの細胞数を5-ALAに作用させるのが有効かを検討する。具体的には蛍光用96wellの1well内の細胞量を1×10の 3乗個、1×10の4乗個、1×10の5乗個、1×10の6乗個、1×10の7乗個 に調整し最適の蛍光強度を最小の細胞数で得られる条件を探る。また、診療室内で判定が可能となるように独自で開発した小型の測定器による結果と蛍光プレートリーダーを使用した結果を比較していく。更に小型測定器の最適な計測条件を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に供していた腫瘍細胞株の一部の継代が順調にできたことにより腫瘍細胞株の購入をしなかったことにより差異が生じた。次年度研究成果に動画による映像コンテンツを作成する予定があるためGPUが強化されているPC購入に充てる。
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