研究課題
味覚障害のうち,自発性異常味覚は「安静時の口腔内の味(苦味等)」の訴えを有するものであり,定量的,客観的な評価が極めて困難である.明確な診断基準が存在しないため,これまでに科学研究費補助金(H22~25,H26~28,H29~R1)の採択を受けて,その診断に用いることができる指標を探索してきた.次の段階として,その苦味の可視化を目指すべく,本研究では,「苦味」を測定することを目的とし,味を定量化することができる味覚センサ(TS-5000Z,Insent)を用いて,患者の訴える「苦味」の定量化を試みた.結果,患者の中にはコントロール群のセンサー応答値の2SDを超える応答が認められる場合があり,さらに経過が追えた2名では,症状消退時の応答が大きく減り,2SD内に収まっていたことから,自発性異常味覚の苦味について味覚センサーの測定が定量化できるケースがあることが示唆された. 今後は,さらに症例数を増やし,これまでに明らかとなっているリスク因子との関連性を明らかにしたい.