研究課題/領域番号 |
20K10267
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丸山 貴之 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30580253)
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研究分担者 |
森田 学 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40157904)
江國 大輔 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70346443)
小林 暉政 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00808826) [辞退]
杉浦 嘉雄 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (40826806) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周疾患 / がん化学療法 / がん支持療法 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん化学療法に用いられる5-フルオロウラシル(5-FU)投与による歯科疾患の重症化メカニズムについて、動物実験を行い、組織学的、生化学的な観点から解明することである。また、5-FU投与による歯周疾患の重症化に対する予防法についても検討する。 2021年度は予備実験として、別研究(酸化ストレス可視化マウスによる抗がん剤の酸化ストレスの検討)で得られた血液および歯周組織を用いて、酸化ストレスの程度を比較検討した。マウスを3群(①コントロール群、②生理食塩水腹腔内投与群、③5-FU腹腔内投与群)に分類し、それぞれの処置を行った。1週間後、すべての群のマウスを多量のイソフルレンで安楽死させ、血液および歯周組織を採取した。その後、血清中および歯周組織中の酸化ストレスを測定し、比較検討した。 その結果、5-FU腹腔内投与群はコントロール群、生理食塩水腹腔内投与群と比較して、血清中および歯周組織中の酸化ストレスが高い傾向を認めた。一方、コントロール群と生理食塩水腹腔内投与群の間で、血清中および歯周組織中の酸化ストレスに大きな違いは認められなかった。このことから、5-FU投与により、血清中の酸化ストレスが増加し、その酸化ストレスが歯周組織に影響を及ぼすことで、歯周状態を悪化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は予備実験として、5-FU投与による全身および歯周組織の酸化ストレスについて検討を行ったため、進捗状況は遅れている。しかし、この予備実験で得られた結果は、2022年度に行われる本実験に貢献するものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は上顎第一臼歯歯頸部を絹糸で結紮し、歯周疾患を惹起したラットに5-FUを投与し、採取した歯周組織を組織学的に評価する。具体的には、歯槽骨吸収、炎症性細胞浸潤、酸化ダメージ(8-hydroxy-2’-deoxyguanosine:8-OHdG)など、病理学的変化の比較検討を行う。また、歯周組織における破骨細胞の分化について、receptor activator of NF-κB ligand(RANKL)、オステオプロテグリン(OPG)、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)の免疫染色を行い、比較検討を行う。また、歯周組織における遺伝子発現の違いについて、生化学的な観点から検討する。歯周組織よりRNAを抽出し、逆転写リアルタイムPCR法を用いて、遺伝子発現の違いを網羅的に比較検討する。以上より、5-FUによる歯周疾患の重症化メカニズムについて解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた実験ができなかったため残額が生じたが、次年度に実施するため、当該費用に支出する予定である。
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