研究分担者 |
中島 光 (藤田光) 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (00147737)
楠瀬 隆生 (桑田隆生) 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (10398852)
瀧澤 智美 (橋爪智美) 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50419785)
田口 千恵子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (80434091)
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研究実績の概要 |
わが国は超高齢社会の中にあり,100歳以上人口は増加の一途をたどり,今後も増加すると予測されている。このような状況下においては,口腔の疾患の状況が急激に変わるため,同時に歯科医療現場も新しい変化が望まれている。 高齢者の治療では,歯周病による歯槽骨の破壊や周囲組織の喪失は重大で,治療によって回復することは困難であることから歯科臨床現場ではさまざまな再生治療が施されている。しかし、十分に骨量を得ることができていない。そこで、新たな治療法の開発として、本研究ではポリ乳酸(PLA)とε-カプロラクトン共重合体(PLCL)からなるフィルムを合成し,材料自体にカルボキシル基を導入し、生理活性機能を付与したフィルムを作製した。ポリε-カプロラクトン(PCL)は,粘性や柔軟性があり,PLAとPCLの複合化をすることによって,用途にあった新規の生分解性材料が開発されている(PLCL)。 試料は,1gのPLA(PLLA;, BMG Inc, Kyoto, Japan) , PLCL(LCL50:50;, BMG Inc, Kyoto, Japan)PLCL(PLCL: PLA/CL=50:50) (LCL50:50;, BMG Inc, Kyoto, Japan),あるいはPLCL(PLCL: PLA/CL=90:10) (LCL90:10;, BMG Inc, Kyoto, Japan)をクロロホルム20mLに溶解し,溶液を調整した。この溶液を円形スライドガラス(直径15mm)上にキャストし,室温で放置した後,PLCLフィルムをスライドガラスから剥がして,フィルムを合成した(PLCL50)。 PLCLフィルムを0.5M NaOH水溶液に浸漬してアルカリ処理することによってフィルム表面にカルボキシル基を導入した(PLCL50-COOH, PLCL90-COOH)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
[遅れた理由]コロナによる幾度かの緊急事態の影響を受け、材料の入手が遅れたり,講習会(分析機器、iPS細胞)が中止になり必要な情報を得ることができなかったこと、材料の表面分析が上手くいかなかったため、なんどもやり直したため遅れた。 [進捗状況]足場材としてPLA フィルム,PLCLフィルムを作製した。PLAフィルム,PLCL50, PLCL90フィルム,PLA-COOH,PLCL50-COOH PLCL90-COOHフィルムについて各表面に対する純水の接触角を測定した。アルカリ処理によるカルボキシル基を導入したPLA-COOH, PLCL50-COOH, PLCL90-COOHフィルムは導入していないPLA, PLCL50, PLCL90フィルムと比べて有意に接触角の低下が認められた(p<0.05) 。 FTIR-ATRによりフィルム表面の分析をおこなった。 カルボキシル基導入PLCL50フィルムを生理活性物質であるコラーゲンを使用して0.05wt%コラーゲン含有MESバッファーに48時間浸漬してPLCL50フィルム表面に固定化した(略号Coll-PLA,Coll-PLCL50,Coll-PLCL90).iPS細胞の予備実験としてマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3E-1)を使用してフィルム上の細胞の挙動について検討を行った。 37℃,5%CO2,95% air 下で培養した.0.25%トリプシンEDTA (Gibco,USA)で処理した後,継代数7代から15代の細胞を使用した。各種フィルムを24 well培養ディッシュに静置し、MC3T3E-1をそれぞれのフィルム上に播種した. 37℃,5%CO2,95% air存在下で90分間,3日間および7日間培養し,細胞数の算定を行った。細胞の形態は,走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をおこなった。FT-IR分析を行った。
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