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2020 年度 実施状況報告書

薬剤性歯肉増殖症への補完代替療法:ルテインによるTRPA1チャネルの阻害効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K10279
研究機関日本歯科大学

研究代表者

島津 貴咲  日本歯科大学, 生命歯学部, 非常勤講師 (80582254)

研究分担者 島津 徳人  麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (10297947)
苅部 洋行  日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50234000)
小口 莉代  日本歯科大学, 生命歯学部, 非常勤講師 (70869164)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード薬剤性歯肉増殖症 / 補完代替医療 / ファイトケミカル / フェニトイン / ニフェジピン / シクロスポリンA
研究実績の概要

本年度においては、てんかん治療薬であるフェニトインの慢性投与による歯肉増殖症モデルの確立を目指した。動物処置の容易さから、8週齢の雄性Wistar系ラットを用いて、①フェニトイン投与群(100 mg/day/kg B.W.)、②フェニトイン+ルテイン投与群(フェニトイン 100 mg/day/kg B.W.、ルテイン 10 mg/day/kg B.W.)、③対照群(溶媒であるコーンオイル 1ml/day)を胃ゾンデを用いて、連日経口投与した。最長12週間の観察期間を設定し、所定の観察期間の後、ドミトール・ドルミカム・ベトルファールの3種混合麻酔を施し、4%PFAで灌流固定した。臼歯部と切歯部を摘出し、歯肉増殖の有無を実体顕微鏡下で観察・記録した後、切歯・臼歯試料を10%EDTAで脱灰し、通法に従ってパラフィン薄切標本を作製した。フェニトイン群では、第一臼歯から第三臼歯に至る上顎臼歯列の歯肉全域(口蓋側歯肉と頬側歯肉)にわたって歯肉肥大がみとめられた。特に第一臼歯の頬側歯肉では、波上の不整隆起が顕著であった。さらに、第一臼歯と第二臼歯の槽間中隔部の位置に相当する歯肉ディンプルの輪郭が不明瞭となっていた。また、頬粘膜、口蓋粘膜、舌粘膜においては、過形成はみとめられなかった。フェニトイン+ルテイン群では、フェニトイン群と同様に歯肉肥大がみとめられたが、不整隆起の程度は軽減しており、歯肉ディンプルの輪郭も明瞭であったことから、ルテイン投与により、歯肉肥大が軽減することが示唆された。現在までに、薬剤性歯肉増殖症モデルにおいてルテインによる症状緩和効果を示した研究は見当たらず、本研究を遂行することで、ルテインが薬剤性歯肉増殖症を予防・緩和する可能性があることを示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和2年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って緊急事態宣言が2回発令されたことにより、麻布大学内での動物実験の実施が大きく制限された。そのため、令和2年度に予定していた①フェニトイン投与群(100 mg/day/kg B.W.)、②ニフェジピン投与群(50 mg/day/kg B.W.)、③シクロスポリン A投与群(10 mg/day/kg B.W.)の動物モデルの確立のうち、実施できたのは①フェニトイン投与群のみとなっている。なお、令和3年度に入り、②ニフェジピン投与群(50 mg/day/kg B.W.)、③シクロスポリン A投与群(10 mg/day/kg B.W.)の動物モデルの確立向けた動物実験を遂行している。

今後の研究の推進方策

令和3年度においては、昨年度に実施することのできなかった、ニフェジピン投与群(50 mg/day/kg B.W.)とシクロスポリン A投与群(10 mg/day/kg B.W.)の動物モデルの確立実験に併せて、所定の観察期間の後、切歯・臼歯部の歯肉増殖の有無と増殖程度を観察し、ルテイン投与による歯肉増殖の予防・緩和効果を確認する。
さらに、歯肉増殖症の発症機構とルテインの緩和作用機序を解明することを目的として、次の評価項目について病理組織学的に評価する。① 歯肉線維芽細胞でのTRPチャネルの発現と局在(抗TRPA1抗体、抗TRPV1抗体)、② 歯肉の上皮細胞と線維芽細胞の増殖活性(抗Ki67抗体)とアポトーシス細胞の検出(TUNEL法と抗カスパーゼ抗体)、③ 歯肉線維芽細胞による膠原線維の産生能(抗I型コラーゲン抗体、アザン染色)と分解能(抗MMP-2抗体、抗MMP-9抗体、in situ zymography)、④ 増殖した歯肉組織での炎症反応の波及範囲(抗CD45抗体)、⑤ 細菌の侵入程度(グラム染色)、歯肉増殖と細菌感染の関連性が疑われる場合には、歯肉増殖モデルにおいて抗菌薬投与群と非投与群を設定し、さらに、抗菌薬とルテインの混合投与群の設定にも着手する、⑥ 歯肉における上皮-間葉相互作用の評価(抗フィブロネクチン抗体)

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの感染拡大にともない、動物実験の実施に制限が生じたために当初計画していた動物実験の実施ができなかったため、次年度使用額が発生した。すでに昨年度に実施できなかった動物実験を開始している。

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公開日: 2021-12-27  

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