研究課題/領域番号 |
20K10280
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 寛子 (武内寛子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (30713424)
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研究分担者 |
立花 利公 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80163476) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒト肺線維芽細胞 / 慢性閉塞性肺疾患 / 喫煙 / ニコチン / 歯周組織 / COPD / 禁煙 / 線維化 |
研究実績の概要 |
喫煙時に直接煙が接するのは、肺と口腔組織である。本研究ではヒト歯周組織細胞およびヒト肺組織細胞を用いて、通常タバコと電子タバコ共通の成分であるニコチンに対する反応を、炎症・線維化に焦点をあてて比較解析する。その結果、ニコチン曝露により歯周組織細胞で起こる変化から、肺組織の線維化を推測できるような両者の間の関連性を明らかにする。 喫煙による呼吸器系の疾患と口腔内の所見との関係を検討することは、口腔内だけにとどまらず全身の健康を保つうえでも、重要であると考える。若年層への喫煙による影響を示す教育としても喫煙による歯周組織の一連の変化を示すことで、さらなる防止策の一環になると考えている。 2年目は、提供されたヒト歯周組織よりヒト歯肉線維芽細胞(以下、HGF)を樹立し、研究を行った。ニコチンを作用させ、コントロール群、喫煙群および禁煙群に群分けし、各時間ごとに位相差顕微鏡、SEMおよびTEMによる形態観察を行った。喫煙群では、時間依存的に細胞内に空胞様構造物の増加が認められた。また、禁煙群において、HGFはニコチン作用により細胞内に空胞様構造物が認められたものの、培地をニコチンを含まないものに置換すると徐々に減少し消失した。さらに詳細な検討を行った結果、エンドサイトーシス/エキソサイトーシスと思われる像が認められた。 これらの形態学的観察の他に、HGFと正常ヒト肺線維芽細胞および慢性閉塞性肺疾患(COPD)肺線維芽細胞におけるニコチンの細胞への影響を検討するために、細胞遊走能の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主任研究者の体調不良により、研究の進行が遅れたが現在は回復している。
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今後の研究の推進方策 |
喫煙による線維化のメカニズム解析を行う。各種細胞を通常培地にて培養後、ニコチン含有培地に交換し培養を行う(Nicotine刺激による喫煙モデルとする)。これらを経時的に観察を行う。その後、各種タンパク質遺伝子発現、各種タンパク質分泌の測定および観察、炎症性マーカーの検索を行い、論文作成へ向けてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主任研究者が体調不良であったため、研究の進行遅延が生じた。しかし、現在は回復している。 使用計画としては、研究を進める上で必要な実験試薬や備品の購入を中心に使用する。
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