研究課題/領域番号 |
20K10287
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹内 明子 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (00867179)
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研究分担者 |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 講師 (00466450)
箕輪 和行 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (30209845)
兵頭 秀樹 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30306154)
亀田 浩之 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (70829887)
長谷部 晃 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90281815)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周病 / 脳血管障害 / 死後画像 / 定量的PCR / P.gingivalis |
研究実績の概要 |
慢性炎症としての歯周病は、糖尿病や心・冠動脈疾患などの全身疾患のリスク因子となりうる。しかしながら、現時点では、歯周病と脳血管障害との関連や歯周病の進行が全身血管に与える影響についての検討は十分ではない。そこで本研究では、脳血管障害による死亡症例において、法医解剖時の血管採取により、脳血管を含む全身の主要血管における歯周病原性菌の存在分布と歯周病進行度を対比し、歯周病進行度と血管障害発症リスクとの関連性を明らかにすることを目的とした。 本年度は、法医解剖体にて死後CT画像を取得し、対象症例における脳血管障害の有無や全身大血管(大脳動脈、頸部・胸部・腹部大動脈)の壁肥厚・プラークによる血管狭窄について画像的検索を行った。さらに、これらの症例について、画像的検索と法医解剖所見における血管障害部位とを照合した。法医解剖時には、対象症例に対して、系統的に前述の全身大血管壁を採取した。また、同時に当該症例の口腔内所見を採取し、症例ごとに歯周ポケット検査、残存歯数および歯科治療痕等のデータ収集を行うとともに、歯周病進行状況をスコア化した。これらの試料・データ採取は比較的順調に進んでいる。ただし、当初予定していた頭部の死後MRI画像の取得が遅れており、脳血管における血管狭窄率等の算出に難渋しているため、期間2年目では、上記と合わせて死後MRI画像を用いた脳血管障害の画像的検索も進めていく予定である。 一方で、法医解剖時に採取した全身大血管壁において、分子生物学的に歯周病原性菌の存在を検証するため、ターゲットとなる歯周病原性菌の菌種を決定した。今後引き続き、法医解剖にて取得した試料に対して、定量的PCRを用いて、ターゲットである歯周病原性菌のDNA検出を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
法医解剖時における死後CT画像取得や全身血管壁の採取、口腔内所見の採取は比較的順調に進んでいる。ただし、採取した試料に対する分子生物学的解析の手法の検討に時間を要している状態である。 新型コロナウイルス感染拡大に対する規制等にともない、共用装置を使用するご遺体(解剖体)の死後MRI取得が困難な時期があり、一部の画像データ取得が当初の予定より進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
採取試料における分子生物学的解析の手法を確立するとともに、引き続き、法医解剖体における死後画像取得・試料採取・口腔内所見採取を進め、データ収集を行っていく予定である。 死後MRIは共用装置を用いて実施するため、新型コロナウイルス感染拡大に伴う感染防止のため、ご遺体(解剖体)の移動や装置使用に制約がかかることが想定される。これに際しては、装置使用時間帯や移動経路の確保、感染防護の徹底等の十分な対策措置を講じていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、データおよび資料収集費、学会参加旅費等が予定より少なかったことが、次年度使用額が生じた理由と考えられる。今後は、死後MRIによる画像解析を進めるとともに、成果報告のための学会参加費用や英語論文発表に関する校正・投稿費用に充てたいと考えている。
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