本研究では、これまで培ってきた経験値をベースに、アウトカム基盤型教育(以下OBE)で最も重視される学習成果の可視化に対して貢献しうる新たな「統合型評価システム」を構築し、同一の視点から6年一貫で学生個々の能力の成長を記録するとともに、診療参加型臨床実習においても多面的なコンピテンシーの修得状況を評価しうる、汎用性の高い統合型学習評価システムの構築を目指す。これにより学習者の多様な能力の成長を、妥当性をもって客観的に評価できるかを探求する。 2022年度の計画は、システムの医学、看護学への応用の検討、6年を通じたカリキュラムの検証・分析及び改善、システムの完成と現場への応用及び総括であった。 2022年度は前年度の調査結果の検討から、評価の可視化のためのシステムの改良を加えた。コンピテンシーの達成度の評価表画面にコンピテンスごとのグラフを追加表示した。本学歯学部でのカリキュラムの3期間(1~2年、3~4年、5~6年)ごとに3個の多角形グラフで表示させ、グラフには学生による自己評価と教員による評価の平均をコンピテンスごとに表示させた。学生や教員が入力した時点で評価の平均を自動で計算し更新表示するようにした。その結果、グラフとして可視化された。カリキュラムの期間ごとに表示することで評価の成長過程が把握できる。これらにより視覚的に評価概要が把握できるようになった。詳細については同時に表示される表によりコンピテンシーごとの評価平均が表示され、平均値表示をクリックすることで元になる各ポートフォリオにアクセス可能になった。このシステム改良は歯学のみに限らず、医学、看護学にも応用可能である。 以上の様にシステムに改良を加え、統合型評価システムをおおよそ完成させることができた。
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