研究課題/領域番号 |
20K10296
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
後藤 哲哉 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (70253458)
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研究分担者 |
松本 信英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40432950)
白方 良典 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (60359982)
倉本 恵梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60467470)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 歯の喪失 / 認知機能 / 三叉神経 / 青斑核 / 海馬 / アミロイドβ / 加齢 |
研究実績の概要 |
先行研究の継続であったために、研究計画の多くの部分を終え論文公開まで行うことができた。研究計画のうち、1) 加齢による三叉神経中脳路核(Vmes)神経変性の解析については以前より使用していた3xTg-ADモデルマウスを使用し、我々が注目しているVmes神経細胞におけるアミロイドβ(Aβ)の発現の加齢変化を調べた。その結果生後2ヶ月ですでに神経細胞内に発現するが、そのAβ発現細胞数の割合は生後4ヶ月でプラトーに達することが分かった。2)抜歯によるVmes神経変性については、抜歯後10日以内に細胞障害を受けた細胞のマーカーであるATF3免疫陽性細胞が出始め、10日以降にcleaved-caspase-3免疫陽性細胞が現れ、細胞死が進行するものと思われた。Vmes神経細胞周囲のグリア細胞の活性化が見られたが、定量解析までは至っていない。その後の青斑核神経細胞の減少はVmes神経細胞付近の細胞で見られ、抜歯後有意な青斑核神経細胞の減少が確認された。また、海馬神経細胞にトレーサーを投与することにより、青斑核の中でもVmes神経細胞に隣接する青斑核神経細胞が海馬に投射していることが証明された。また、認知機能の低下についてはバーンズ迷路を使って調べた結果、上顎両側臼歯の抜歯を4ヶ月齢マウスで行うと認知症様行動が見られるまでの期間が、抜歯をしなかった3xTg-ADマウスに比べ約1/4と早く現れた。これらの結果を論文にまとめ公開した(Gotoら、(2020) J Alzheimer's Dis,76(4), 1443)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに当初予定の実験のほぼ8割程度は終わっており、新しいアルツハイマー病モデルマウスであるAPP-knockinマウスの導入も終えている。前半の研究結果は英文国際誌にすでに発表している。
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今後の研究の推進方策 |
三叉神経中脳路核(Vmes)神経細胞におけるAβの局在を調べていくうちに、AβがVmes神経細胞内の選択的オートファジーに関与している所見が見られた。現在は、3xTg-ADモデルマウスを使って、加齢と選択的オートファジー、さらには神経細胞内でのAβの働きについて研究を進めている。また、現在までの得られた所見が3xTg-ADマウスに特異的なものかどうかを新しく導入したAPP-knockinマウスと比較しながら検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は国内、国外の学会に行けなかったので旅費が0となった。また、予定していた学部学生の実験補助も学生の出校停止でできなかった。その他の費用が出たのは関係論文が受理されて掲載料及びオープンアクセス料がかかったためである。次年度使用額については可能であるならば学会参加費・旅費あるいは国内外のWeb学会への参加を増やすとともに、学部学生の実験補助費を当初計画より増やして使う、もしくは投稿準備中の論文があるので、投稿料、論文掲載料に使用する予定である。
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