研究課題/領域番号 |
20K10302
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
渕田 慎也 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (90732834)
|
研究分担者 |
伊藤 奏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10736474)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | EBPM / 口腔保健 / 歯科保健事業 / 行政歯科専門職 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,口腔保健における根拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making:EBPM)を効果的・効率的に推進するため,全国市区町村を対象として行政専門職の確保・育成と歯科保健事業に対するEBPMとの関係を明らかにすることである。つまり,行政歯科医師・歯科衛生士の採用・能力開発や行政保健師の歯科保健に関する能力開発・交流によって,EBPMがどの程度まで推進され,政策効果がどの程度まで得られるのかを解明する。そして,口腔の健康格差の縮小に寄与する行政歯科専門職の採用・登用や育成支援の学術的基盤を目指す。 令和3年度は,まず令和元年度の地域保健・健康増進事業報告より得られた全国1,741市区町村の常勤の行政歯科専門職の配置の有無とカテゴリ化した人口総数,老年人口割合,大卒者割合,第3次産業従事者割合,1人当たり課税対象所得,財政力指数,1万人当たり歯科医師数との関連について,ロジスティック回帰モデルによって分析した。その結果,人口が5万人以上の自治体,1人当たり課税対象所得が300万円以上の自治体は有意に常勤の行政歯科専門職を配置していた(P<0.001)。行政歯科専門職の配置は保健所設置市等の経済・行政基盤の大きい自治体に偏っており,人口規模や経済・行政基盤の小さい地方の町村における行政歯科医師・歯科衛生士の確保・育成を支援する施策の必要性が示唆された。 加えて,全国1,741市区町村への実態調査を再検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は,行政歯科専門職の確保・育成がEBPM推進とその政策効果に与える影響の分析については,研究実施計画通りに進捗している。一方,全国市区町村への実態調査は,新型コロナウイルス感染症によって全国市区町村の歯科保健担当者が感染症対策業務に追われていることから,年度内の実施を見送り調査方法等の再検討を行っており,若干の遅れと判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,全国1,741市区町村への実態調査を行う予定であるが,新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み,必要に応じて調査方法等を再検討する。可能な範囲で,全国市区町村の歯科保健担当者に対して,行政専門職の確保・育成(専門的能力・知識の習得方法)の状況とEBPMの実績・課題に関する質問紙調査を実施する。 さらに,パネルデータを用いた行政歯科専門職の確保・育成がEBPM推進とその政策効果に与える影響の分析結果を踏まえて,EBPM推進の人材確保・育成モデルを作成する。 一方,当初の研究実施計画にあった市区町村の歯科保健担当者への直接ヒアリングはオンラインにて実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は,新型コロナウイルス感染症によって全国市区町村への実態調査を見送った。加えて,旅費等の支出がなくなり,成果発表が少なかったため,次年度使用額が生じた。 令和4年度は,延期している実態調査を予定しており,併せて使用する。
|