研究課題/領域番号 |
20K10303
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 学内教授 (90350587)
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研究分担者 |
稲井 裕子 九州大学, 大学病院, 准助教 (00193540)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔細菌叢 / マイクロバイオーム / 誤嚥性肺炎 / 周術期口腔管理 / 呼吸器症状 |
研究実績の概要 |
令和2年度は予備的研究として周術期口腔管理が必要な5名の患者に対して舌苔をサンプルとして初診時、Professional tooth cleaning を含む口腔機能管理介入直後、手術後のマイクロバイオームを次世代シーケンサーにて分析を行った。患者の内訳は男性2名、女性3名、食道癌3名、大腸癌2名である。それぞれの分類のレベルでの細菌の構成比率を分析した結果を以下に示す。 Phylumのレベルでは、Firmicutesが初診時、口腔機能管理介入直後でやや増加した。しかし、手術直後では極端に低下した。Bacteroidesは術前と比較して口腔機能管理後で低下し、手術後でやや低下した。Proteobacteriaは初診時と比較して、手術後に大きく増加した。Orderのレベルでは、Lactobacillalesは口腔機能管理後、やや増加したが手術後には大きく減少した。SpeciesのレベルではPrevotella melaninogenica、Streptococcus sinensis groupが初診時と比較して口腔機能管理後に大きく減少し、手術後も減少していた。Streptococcus pneumoniae group、Streptococcus pneumoniae groupは初診時、口腔機能管理後に大きな変化はなかったが手術後に大きく減少した。また1例であるが、院内感染の原因菌であるSerratia odoriferaが極端に増加した例が見られた。 以上の結果から、口腔機能管理によって大まかにプロバイオテックスに使用する細菌の増加、嫌気性菌の減少、肺炎の原因菌とされている菌の減少が見られた。口腔機能管理は、術後合併症を含む種々の病原菌を減少させる効果があることが示唆された。また、手術後には菌叢が大きく変化している可能性があり、手術後の口腔機能管理の重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在、多数のサンプルの採取が完了しており、すべてのサンプルを解析するには予算が足らない。そのため様々な交絡因子をマッチングさせてサンプルを抽出し解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
九州大学病院は1000床以上の病床数を有し、年間手術件数は約1万件である。サンプルは充分に得られる状況にあるが、研究費に上限があるため、最も効果的にサンプルを抽出して解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で倫理審査委員会の承認が遅れたため、解析を行ったサンプル数は予定より少ないが、現在、すでに充分なサンプルを蓄積しており、症例を選択して今年度中に分析を行う予定である。
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