研究課題/領域番号 |
20K10308
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
三浦 宏子 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10183625)
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研究分担者 |
大澤 絵里 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (30520770)
福田 英輝 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (70294064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歯科口腔保健 / 健康格差 / 障害者児 / 歯科健診 / 歯科保健指導 / 健康寿命 |
研究実績の概要 |
障害者児に対する歯・口腔の健康づくりの推進は、すべての対象者における歯・口腔の健康寿命の延伸に大きく寄与する。しかし、その全国的な提供状況は十分に明らかになっていない。そこで、本研究では、障害者・児施設での歯科保健医療サービスの状況把握のための質問紙による全国調査を実施し、歯科保健医療サービスの全国的な提供状況と地域差を明らかにする。わが国のすべての障害者児施設を対象とし、質問紙回収率は46.8%であった。その結果、歯科健診を受ける機会は9割弱の施設で設定されていたが、年1回以上の定期歯科健診を提供していた施設は62.7%にとどまっていた。また、歯科専門職から歯科保健指導の機会を提供している施設は8割強に達していたが、年1回以上の定期的歯科保健指導を提供している施設は40.6%であった。定期的な歯科健診と歯科保健指導の実施状況について都道府県ごとに調べたところ、明確な地域差が認められた。歯科専門職以外の施設職員が実施している歯科保健サービスについては、「食後の歯みがきを職員が行う」もしくは「食後の歯みがきを見守り介助する」がともに7割以上に達しており、口腔ケアは多くの施設で定着していた。施設職員による口腔ケアの対象者は、約4割の施設では職員の判断によって決めていた。また、施設で提供している歯科保健サービスが入所者のニーズを満たしているかに関する主観的評価では、不足していると回答したところが約3割であった。また、口腔衛生管理体制加算と口腔衛生管理加算の障害福祉サービスへの導入を知っていた施設は64%であった。コロナ禍の影響もあり、定期的歯科健診や歯科保健指導を取りやめたままで再開していない施設も多く、コロナ禍前の提供状況に戻す必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査については、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことにより、概ね順調に実施することができた。しかし、令和4年歯科疾患実態調査の結果公表が予定よりさらに遅れたため、令和5年度中の二次利用申請が困難となり、分析の一部に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年歯科疾患実態調査の二次利用申請を行い、追加の分析を進めて、歯・口腔の健康状態の地域差分析を行う。また、国民生活基礎調査についても併せて二次利用申請を行い、国民生活基礎調査と歯科疾患実態調査でのリンケージ分析を行う。これらの一連の分析によって、歯・口腔の健康における地域差を可視化するとともに、社会経済的要因と歯・口腔の健康との関連性について全国データで分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年歯科疾患実態調査の調査データの整理等の用務を担当する調査補助員の雇用が不要となったため、人件費・謝金の経費を使用しなかった。2024年度はデータ整理に関わる経費を使用する予定である。また、これまでの研究知見をまとめ、英文論文として国際専門誌への投稿を企図しているため、その投稿料の支出を見込んでいる。
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