研究課題/領域番号 |
20K10321
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森山 智彦 九州大学, 大学病院, 准教授 (20452758)
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研究分担者 |
上田 真太郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (10823445)
工藤 孔梨子 九州大学, 大学病院, 助教 (50644796)
清水 周次 九州大学, 大学病院, 教授 (70274454)
樫田 博史 近畿大学, 医学部, 教授 (80338441)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遠隔医療 / 大腸がん / 遠隔教育 / 国際協力 / アジア / 情報通信 |
研究実績の概要 |
大腸がんは世界におけるがん死の第2位で、その早期診断には大腸内視鏡検査が有用である一方、医師の技量によって大腸内視鏡検査の大腸がん死亡に対する予防効果に差があることがわかってきた。本研究では、テレカンファレンスを中心とした国際的な遠隔医療により継続的かつ効果的な教育を構築し、アジアにおける大腸がん診療における格差解消を目指している。 1年目である本年度は共同研究者とともにアジア各国の拠点施設を訪問し、大腸内視鏡検査を中心とした大腸がん診療の実態調査とインターネットやPCを含めた技術的インフラの実地調査を行い、現地において研究参加予定医師たちと医療データの抽出・提出方法などについて検討する予定であった。しかしコロナ禍により予定していた渡航がすべて中止となったうえ、各国ともに感染拡大予防策として内視鏡検査の中止または大幅な検査制限が行われたため、実態調査は実施不可能であった。このため8月と2月に本研究の拠点施設を含めた10施設以上のアジアの医療機関を接続した内視鏡診療に関するテレカンファレンスを開催し、感染予防策を講じた内視鏡検査の工夫と若手内視鏡医育成のための教育方法について、それぞれ2.5時間の討論を行った。また、拠点病院以外のブータン、ミャンマー、カンボジア、台湾の4ヶ国においてそれぞれ12施設、3施設、1施設、1施設と新たな接続を構築した。テレカンファレンスにおける医療画像および音質の品質については参加者の満足度も高く、アジア各国におけるネットワークインフラについてはあまり問題がないことが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はアジア各国の拠点施設を訪問し、内視鏡診療の実態調査やインターネットをはじめとした技術インフラの状況、医療データの抽出・提出方法などを現地医師と討論する予定であった。しかしコロナ禍により予定していた渡航がすべて中止となったうえ、各国ともに感染拡大予防策として長期間にわたり内視鏡検査の全面中止または大幅な検査制限が行われたため、実態調査は実施不可能であった。ただし、拠点施設を含めた10施設以上のアジアの医療機関を接続した内視鏡診療に関するテレカンファレンスにおいて、画像および音質に対する参加者からの評価は高かったことより、アジア各国におけるネットワークインフラについてはあまり問題がないことが推察され、技術インフラの実地調査については簡素化できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
未だ海外との往来が再開される時期の目処が立たず、ロックダウンをはじめとした感染症対策のため病院が閉鎖されることも多く、国によっては定期的なテレカンファレンスへの参加が困難なことが予想される。このため内視鏡による大腸がん診断のための教育ビデオを作成し、本研究への参加者が視聴可能な時間に教育を受けることができるという方法へ変更することを考慮している。また、大腸内視鏡検査技術の指標となるデータについては本研究に参加する医師がそれぞれ算出するなど、現地へ赴くことなくデータの収集ができるようにする方法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は共同研究者とともにアジア各国の拠点施設を訪問し、大腸がんの内視鏡診療と施設における技術的インフラの実態調査、および医療データの抽出・提出方法などについて検討する予定であったが、コロナ禍により予定していた海外渡航がすべて中止となった。本年度の出張経費(旅費)がすべてキャンセルとなり国内外の発表はオンラインとなったため、学会参加費を計上した。また、テレカンファレンスと内視鏡診療の教育ビデオ作成に用いる、パソコンとハードディスクの購入を行った。次年度中に自由な海外渡航が可能となれば、本年度に実施できなかった共同研究者とのアジア各国の拠点施設訪問と実態調査を行う。
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