研究課題/領域番号 |
20K10324
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
横山 彰三 宮崎大学, 医学部, 教授 (60347052)
|
研究分担者 |
南部 みゆき 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90550418)
本部 エミ 宮崎大学, 多言語多文化教育研究センター, 講師 (10755515)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 医療人文学 / ナラティブ / ネイティブアメリカン / 叡智 |
研究実績の概要 |
最終年度では、講義のデザインと学生からのフィードバックを実施した。また、ネイティブアメリカンの死生観や癒しの概念について調査するため、米国での現地調査を実施した。講義は下記の内容をデザインし実施した。専門科目ではエビデンスに基づいた医療(EBM)を中心に学ぶが、最近の医療では物語に基づく医療(NBM)が注目されている。どんなにいい薬や治療法があっても患者の抱える心の痛み、家族・社会背景に紐づく様々な問題を知らなければ効果的で人間的な医療は提供できないという考え方である。医療を人間が生まれて生きて死ぬという全体性の観点から捉えなおすために、この講義では医療を様々な人文学的視点(宗教学、文学、人類学、心理学、コミュニケーション論)などから紐解き、心ある医療者として問われる資質とは何かを一緒に考えていった。また、ネイティブアメリカンについては、米国アルバカーキーにおいてWind Eagleからネイティブアメリカンに伝わる儀式ビジョンクエストを通して、彼らの世界観・宇宙観から人間が生まれてくる意味などについて口伝で伝わってきたネイティブアメリカンの文化に宿る叡智について調査した。シャーマニスティックな部分だけが注目されるネイティブアメリカンのメディスンであるが、彼らにとって人間とはすべての存在とつながっており、それら全てとつながりをもち、調和して生きることが重要である。それゆえ、メディスンマンは大いなる存在である地球とのつながりや内面のバランスを崩している人に、そのつながりを取り戻すためのガイドを祈りにより行う。医師である前に一人の人間として病者によりそうために、そもそもの人間存在を探求したり、そのための死生観を探求していくことは現代の医学生にとっては重要な項目であるが、自分ごととしてこれをとらえさせるためには医療人文学を必修化することが求められる。
|