研究実績の概要 |
研究成果の概要(和文):これまで開発してきた簡易形線量計のコスト削減と操作性向上を目指してBluetoothを用いた簡易形線量計を開発した.これまでも無線伝送を用いた半導体測定器は開発されているが,それらの測定器はX線の信号を測定器内の記憶装置(メモリ)に蓄えてから,Wi-FiやBluetoothにより送信されている.我々はコスト削減のためメモリを使用せず,フォトダイオードの電離電流から電圧に変換し,AD変換後,その都度,Bluetooth送信する方式を試みた. この報告は,Bluetooth対応簡易形線量計(Bluetooth-compatible Simple Dosimeter: BCSD)の開発概要とそのBluetooth通信の信頼性評価を行った. AD変換電圧と線量率の関係を線形近似することで測定器の誤差を小さくすることが可能となった.管電圧-管電流特性の電離箱(PTW)との比較相対誤差は従来のものと同等で,誤差の四分位範囲は-2.4 ~ +3.4 %であった.,しかし,低線量の150 μGy以下では誤差が大きくなっていた.また,管電圧が70, 80 kV,管電流が320, 400 mAのときは +5 %以上の誤差があった.このことからBCSDは50 kV以上で使用することを推奨する. 研究成果の学術的意義や社会的意義:Bluetoothを活用し簡易形線量計を開発した.製造業などで利用されている多くのBluetoothの方法は,1時間おき,または1日おきなど測定インターバルが長い.診断用放射線領域のように,短時間(数ms)のパルス応答に対して,Bluetoothが適応できるのなら,診断用X線装置におけるIoTが実現でき,診断用X線装置管理の自動化されビッグデータを活用したAIによる故障予測が実現される.
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