研究課題/領域番号 |
20K10327
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
恒松 美香子 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 講師 (80710194)
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研究分担者 |
今井 賢治 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 教授 (10257834)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鍼施術 / 安全管理 / 衛生管理 / 手指衛生 / 災害被災地 |
研究実績の概要 |
本研究は、災害被災地、スポーツ現場、在宅など衛生管理が難しいことも想定される鍼施術室外でも衛生的に安全な鍼施術を提供できる操作の構築を行うことを目的とする。 2022(令和4)年度は、インタビュー調査によって、災害被災地で鍼施術を行う際の安全上の問題点を調査した。災害被災地での鍼灸施術の経験がある鍼灸師を対象に、衛生的操作も含め、安全操作が難しかったケースの経験(流水での手洗いが難しいなど、手指衛生操作が施術室と同じように行うことができなかったた、など)、安全操作が難しかったケースに対して、想定されうる改善策について、半構造化インタビュー調査を行った。鍼灸師が災害被災地で施術を行う際は、衛生面において、手洗いが十分に行いにくい状況あるが、消毒薬やグローブを活用した衛生的な施術は可能であると考えられた。今後、消毒薬やグローブなどだけの使用で、鍼施術時に使用する鍼灸針が清潔に保たれるかどうかを検討する必要があると考えられた。また、衛生操作以外の鍼施術上の安全上の問題点としては、落鍼への注意喚起はされていたが、それ以外の安全性については個人で気をつける状況であった現場もあった。安全確保が個人にゆだねられることが無いよう、災害被災地の特徴を考慮した安全対策マニュアル作成の必要性も考えられる。さらに、災害被災地における安全な鍼施術実施のためには、災害被災地での施術は援助をしたいという気持ちだけでなく、必要な準備をした上で、他のスタッフとコミュニケーションをとる必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者確保に難航したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在も、より多くの対象者から災害被災地での鍼灸施術の安全上の問題を聴取するために、インタビュー調査を継続している。また、インタビュー調査と並行して、模擬的に災害被災地を想定した状況での鍼施術を行った際の、鍼灸師手指および施術に用いる鍼灸針の衛生管理について実験を進め、災害被災地などの鍼灸施術室外(スポーツ現場、患者個人の自宅)などで実行可能かつ有用な衛生操作を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に遅れが出たため次年度使用額が生じた。また、2020年度、2021年度に参加予定であった国際学会が中止もしくはオンライン開催であったため、旅費を支払う必要が無かったことも、次年度使用額が生じた一因である。次年度は、災害被災地を想定した衛生的な鍼施術を検討する研究遂行に必要な細菌培養用の培地、細菌同定検査、研究対象者への謝金などに予算を使用する。また、インタビュー調査の実施に必要な交通費、研究対象者への謝金に予算を使用する。さらに、海外(オランダ、アムステルダム)における国際学会にて研究成果を発表する予定であるため、旅費および参加費に予算を使用する。
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