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2021 年度 実施状況報告書

進行期肺癌に対する癌化学療法への医療経済的なアプローチによる解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K10333
研究機関関西医科大学

研究代表者

玉置 岳史  関西医科大学, 医学部, 講師 (10460817)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード費用対効果 / 肺癌 / 化学療法 / 医療経済
研究実績の概要

本研究の目的は、切除不能な進行期肺癌において1次治療、2次治療として使用される分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬などの細胞障害性抗がん薬以外の抗がん薬が生命予後を改善するために必要とする費用を算出し、各抗がん薬間で費用対効果を比較することで医療経済的に最適な切除不能な進行期肺癌患者への抗がん薬治療を考えることである。
令和2年度に作成した進行期肺癌に対する抗がん治療薬の薬品情報と臨床情報を収集した研究データベースの一部では全生存期間などの臨床試験の結果が公表されていないために情報が不十分な抗がん薬治療が存在する。令和3年度では、その後の追跡調査にて公表された臨床研究の情報を収集して研究データベースの更新を行った。また、新たに承認された肺癌に対する抗がん薬治療に対する薬品情報と臨床情報の追加も行った。そして、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌、進展型小細胞肺癌の各々において全生存期間の延長を目的とした1次治療薬の費用対効果を評価した。結果は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌ではダコミチニブが費用対効果が良好であったが、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌では未だ全生存期間が公表されていないものが多く現時点での評価が困難であった。進展型小細胞肺癌では免疫チェックポイント阻害薬+プラチナ製剤併用抗がん薬治療は薬剤費が高額であるにも関わらず全生存期間の延長は短期間であるために費用対効果が不良であった。
今後もドライバー遺伝子変異/転座陽性例やPD-L1発現に応じたサブグループ別に全生存期間ならびに無増悪生存期間について抗がん薬治療の費用対効果を解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

進行期肺癌に対して新たに承認された抗がん薬治療のなかには臨床論文が公表された時点で全生存期間などの研究に必要とする臨床情報が判明していないものが存在する。そして、新たなドライバー遺伝子変異に対する分子標的治療薬、免疫チックポイント阻害薬と細胞障害型抗がん薬の併用治療、系統の異なる免疫チェックポイント阻害薬の併用治療などの承認があり、進行期肺癌に対する抗がん薬治療の選択肢が増えたことで立案時よりも研究対象の範囲が拡大している。このために、該当する抗がん薬治療の臨床情報を追加で収集することや追跡結果が公表された時点で研究データベースの修正を行い解析の再調整することを必要とした。また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大時には研究活動時間の制限も加わり進捗状況は予定よりも遅れている。

今後の研究の推進方策

令和4年度では、令和3年度後半より開始しているシミュレーションモデルの作成、費用対効果の算出などの医療経済的な解析を決定木ソフトウェアも用いながら進めていく。シミュレーションモデルの構築や解析時において、一部の抗がん薬治療では全生存期間やQOLなど医療経済効果の評価に必要となる臨床情報がどうしても入手できない場合が想定され、類似薬の情報を代用することも考慮する必要がある。そして、解析した進行期肺癌に対する抗がん薬治療の費用対効果とともに、有害事象や肺癌診療ガイドラインでの推奨度を加味しながら医療経済的に最適な進行期肺癌患者への抗がん治療モデルを模索する見込みである。
なお、引き続き研究開始後に進行期肺癌に対して新たに承認された抗がん薬治療の薬品情報や新たに判明した抗がん薬治療の臨床情報はデータベースに随時で追加して、研究対象に加えていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究対象となる医療経済学に関連する学会や研究会へ参加するための参加費や交通費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって学会・研究会の開催がオンライン化したり、開催中止となったために旅費などに残金が生じ次年度使用額となっている。このために、学会・研究会へのオンラインでの参加費用としてや、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う所属施設での出張制限が解除された場合には関連する学会や研究会へ出席するための費用としての使用を次年度に予定している。また、新たに追加承認された抗がん治療薬に関連した臨床情報のうち大学ネットワークより入手できない論文などを取り寄せるための費用としての使用も計画している。

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公開日: 2022-12-28  

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