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2023 年度 実施状況報告書

進行期肺癌に対する癌化学療法への医療経済的なアプローチによる解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K10333
研究機関関西医科大学

研究代表者

玉置 岳史  関西医科大学, 医学部, 講師 (10460817)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード費用対効果 / 肺癌 / 化学療法 / 医療経済
研究実績の概要

本研究では、切除不能な進行期肺癌において1次治療、2次治療で使用される分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬などの細胞障害性抗がん薬以外の抗がん薬が生命予後を改善するために必要とする費用を算出し、各抗がん薬間で費用対効果を比較することで医療経済的に最適な進行期肺癌患者への抗がん薬治療を考える。
EGFR遺伝子変異(エクソン19欠失またはL858R変異)陽性非小細胞肺癌に対する1次治療ではダコミチニブで費用対効果が良好であった。ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対する1次治療では未だ臨床試験の結果にて全生存期間が確定されていないものが多く費用対効果を評価できなかった。ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、MET遺伝子変異、RET遺伝子変異、NTRK融合遺伝子、K-ras遺伝子G12C変異が検出された非小細胞肺癌では、遺伝子変化の頻度が稀であるために細胞障害性抗癌薬と直接的な比較を行った第3相臨床試験が存在せず費用対効果を評価できなかった。
分子標的療法の適応となる遺伝子変化がない進行期非小細胞肺癌に対する1次治療は、PD-L1 50%以上ではペムブロリズマブ単独治療で、PD-L1 1-49%ではペムブロリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬とアテゾリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬で、PD-L1 1%未満では/ペムブロリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬で費用対効果が良好であった。
進展型小細胞肺癌に対する1次治療は、免疫チェックポイント阻害薬/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬の薬剤費が高額であるにも関わらず全生存期間の延長は短期間であるために費用対効果が不良であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

進行期肺癌に対して承認された抗がん薬治療のなかには臨床論文が公表された時点で全生存期間などの研究で必要となる臨床情報が確定していないものが存在する。このために、追加データが公表されるごとに研究で使用しているデータベー スの修正や解析の再調整を行っている。また、当初に想定していたよりも肺がんへの抗がん薬治療の層別化や新たに承認された抗がん薬の追加があったために解析対象となる治療レジメン数が増えている。このために、抗がん薬治療の治療効果や有害事象を加味した解析を行う際に臨床論文間で報告されたデータの基準に差異が存在するために調整や解釈に想定よりも多くの時間を必要としている。

今後の研究の推進方策

令和6年度では、前年度までに算出した進行期肺癌に対する抗がん薬治療の治療効果および有害事象を加味した費用対効果を用いて、肺癌診療ガイドラインでの推奨度を加味しながら医療経済的に最適な進行期肺癌患者への抗がん治療モデルを構築する。 一部の抗がん薬治療では全生存期間やQOLなど医療経済効果の評価に必要となる臨床情報がどうしても入手できない場合には、当該治療の小規模報告や類似薬の 臨床情報を代用することも検討する。 令和6年度は研究の最終年度であるために公表に向けた準備も進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究対象となる肺癌診療や医療経済学に関連する学会・研究会への交通費を旅費として研究立案時に計上していた。しかし、学会・研究会へオンライン参加できるようになったために旅費分を中心とした残額があり次年度使用額が生じている。 次年度使用額は、研究に必要であるも大学ネットワークより入手できない論文などの臨床情報を取り寄せる費用、研究成果を発表する学会や論文投稿のための費用として使用することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 進行期肺癌での免疫チェックポイント阻害薬を含んだ1次抗癌薬治療に対する費用対効果の比較2023

    • 著者名/発表者名
      玉置岳史
    • 学会等名
      第64回 日本肺癌学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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