研究課題/領域番号 |
20K10335
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
大杉 夕子 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40273669)
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研究分担者 |
池亀 和博 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20372609)
井上 雅美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 血液・腫瘍科・主任部長 (30565354)
小澤 美和 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医長 (40224224)
藤森 麻衣子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (40450572)
脇口 優希 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90520982)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AYA世代 / 血液腫瘍 / 情報提供 / 支援 / ニーズ / アンメットニーズ |
研究実績の概要 |
【目的と意義】本邦のがん対策推進基本計画において、思春期・若年成人(adolescent and young adult; 以下AYA)世代のがん医療の充実は課題の一つであるが、全がん患者の中で、この世代が占める割合が少ないためAYAがん患者の現状把握は十分でなく、医療者が支援を行うにあたり患者体験に直接耳を傾ける事が重要である。本研究の目的は、AYA世代がん患者の情報提供の在り方と支援へのニーズを明らかにし、関連要因を検討する事で、得られる結果はAYA世代の患者と医療者のコミュニケーションやAYA世代のがん対策を促進する基礎的なデータになると考えられる。【方法】15歳から29歳の間に血液腫瘍の診断を受けた40歳未満の者を対象とし、2021年1月より2022年3月まで、アンケート調査を行った。得られた回答から、主要評価項目である情報提供の在り方、支援へのニーズは記述統計量を算出し、AYA患者のニーズを明らかにする。また、主要評価項目を従属変数、副次評価項目であるソー シャル・サポート、QOL、抑うつ、患者背景(年齢、性別、血液腫瘍の種類、診断からの期間、再発・転移の有無、抗がん剤治療の経験、身体状態(ECOG Performarlce Status)、社会的背景(婚姻状況、同居家族の有無、子どもの有無、介護が必要な親の有無、就業・就学状況、教育経験、世帯年収状況))を従属変数とする重回帰分析を行い、ニーズとの関連要因を検討する。【進捗状況】2021年度は主に調査票の回収を行った。初回にアンケート回収終了予定であった10月時点では、回答数が少ないことが見込まれ、アンケート実施期間を2022年3月まで延長した。なお、回収に当たり、年齢による差が見込まれたため、対象者の年齢を25歳から29歳まで引き上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報提供の在り方と支援へのニーズへの関連要因を検討するため、120例以上の回答数を目標にしていたが、100件と、これを下回った。コロナ禍で長期フォローアップ外来に受診する患者数が少なくなった事、学会発表(第63回日本小児血液がん学会、第19回日本臨床腫瘍学会)や、患者会の講演がWEB開催になり直接患者、サーバイバーの方、主治医にアンケート協力を呼びかける機会が減った事が理由として考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年8月時点で予定の回答数を下回る事が予想され、倫理審査委員会の承認を得て、研究責任者施設の2021年10月までのアンケート回収予定を2022年3月31日まで延長したが アンケート配布は2021年1月から開始し、最終的に2022年3月までで得られた回答数は100件であった。今後、アンケートの回収期間を延長すれば回答が増える可能性がはあるが、必要最低限の数は集まっており、今後解析を開始していく予定である。 主要評価項目として、情報提供の在り方へのニーズ(医師が医学的な情報を伝える面談時のコミュニケーションに関して、患者の意向・支援へのニーズ)、副次評価項目としてソーシャル・サポート、Quality of Lile(QOL)、患者背景(年齢、性別、血液腫瘍の種類、診断からの期間、再発・転移の有無、抗がん剤治療の経験、身体状態、社会的背景(婚姻状況、同居家族の有無、子どもの有無、介護が必要 な親の有無、就業・就学状況、教育経験、世帯年収状況)の解析を行う。 なお、Primary endpointsについて、探索的因子分析を行い、因子構造を検討、関連要因を検討するために、情報提供の在り方へのニーズ、支援へのニーズを従属変数、年齢、性別、がん種、再発・転移の有無、診断からの期間、身体状態、教育経験、婚姻状況、就労状況、子どもの有無、ソーシャル・サポート、QOL、K6を独立変数として重回帰分析を行う。 得られた結果は医療者、患者、サーバイバーに還元出来るように学会、誌上で報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も引き続きコロナ渦であり、予定の会議や学会がWeb上で行われたため、会議費や交通費が削減できた。次年度はアンケート結果を解析するため、データ解析やそのための会議に費用を要すると考えられ、次年度繰り越し金はその費用に使用する。
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