研究実績の概要 |
2021年度は、研究フィールドである病院全体が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を強く受けたため、研究内容を一部変更せざるを得ない状況であった。しかしながら、COVID-19の波の合間にいくつかの研究成果を得ることができた。もともとの研究計画にあった病院排水の解析に関しては、研究計画立案時以降に行われた病院の改修工事に伴い、安定的な採取が困難となったため2021年度も保留としている。一方で、複数の病棟で水回り清掃の方法の見直しをそれに伴うシンク・排水口の細菌量ならびに細菌叢解析は順調に施行することができた。2021年は、新しく開院したA,B,C病棟のうちの各3カ所の手洗い場を選定して調査を行った。それぞれの病棟では、研究者らが決定した清掃方法で清掃業者が清掃を行った。清掃前、清掃後に研究者らが標準化された方法で検体を採取し、菌量、薬剤耐性菌の有無、細菌叢解析を行った。COVID-19の影響で採取ができなかった時期もあるが、おおむね2-3か月に1回、サンプリングを行った。2022年4月現在、詳細な解析を継続しているところであり、確定的なことは言えないが、手洗い場所の使用頻度、清掃方法、シンクの構造が排水口内に付着する細菌の量や細菌叢と関係している可能性が示唆された。そこで、2022年度は今までの2年に得られた知見を反映した清掃法とサンプリングによる検証を行うこととした。
|