薬剤耐性対策のためには、ヒトのみならず動植物・環境に対し包括的な対策を講じる必要がある。本プロジェクトでは、新規に建設された病棟をフィールドに、水周りの環境整備手法と薬剤耐性菌、そしてレジストーム授受の土台となるバイオフィルムの関連を調査することを目的に計画された。フロアごとに異なる管理方法で清掃・保守された患者の療養環境について、マイクロビオームとレジストームの変遷を確認した。また、薬剤耐性菌が実際に検出されている患者病室に於いて特定の方法で清掃した場合の汚染状況を調査した。その結果、水回りの細菌叢や菌量は清掃法や薬剤耐性菌の検出状況よりも使用頻度や築年数に依存することが示唆された。
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