研究課題/領域番号 |
20K10358
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
脇之薗 真理 藤田医科大学, その他部局等, 助手 (60773843)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インフォームド・コンセント / 同意能力 / 同意能力評価 / 高齢者 / 研究倫理 |
研究実績の概要 |
本研究における2020年度の課題は、高齢者対象の臨床研究におけるインフォームド・コンセントについて、同意能力の判断の問題を中心に課題を明らかにすることである。そこで、2020年度は日本の高齢者の同意能力評価に関し、どのようなツール・方法が用いられてきたかを把握し、今後の課題を明らかにすることを目的として、文献調査を行った。 文献調査には、国内の医学文献データベースである医中誌Webを使用した。対象期間は特に限定せず、収載のある1946年から検索日(2020年11月6日)までとした。先行研究で言及の多かった同意能力評価ツールを踏まえたキーワードを用いて検索したところ、1,307件がヒットした。ここから、タイトルあるいは抄録のいずれにもキーワードが含まれないもの等を除外し、さらにタイトルと抄録に高齢者の同意能力評価に関する評価基準・ツールに関する記載のないものを除外したところ、1270件が除外された。残りの37件について、今回研究の協力を仰いだ村井はるか准教授(藤田医科大学 医療科学部)と各自独立して全文を読み、選択・除外条件に従って最終的に21件の文献を分析対象として抽出した。当該文献について、対象、対象者、同意能力判定ツール、その他のツール・方法等の項目に分けて分析した。 上記調査により、日本における高齢者の同意能力評価基準・ツールとしてはMacCAT-T、SICIATRI等が挙げられるが、未だ浸透していない等の状況が明らかになった。 今回の調査により、今後実施予定の、各種評価基準・ツールの知名度やニーズなどのアンケート項目策定のための重要な資料を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初2020年度は文献の収集・整理に加え、医師・治験コーディネーター(CRC)へのアンケート・インタビューを予定していた。しかし、文献の収集・整理を進めるにつれ、日本国内で高齢者を対象とする臨床研究におけるインフォームド・コンセントの同意能力判断に用いる基準・ツールを使用した文献が非常に少なく、アンケート・インタビューで聞くべき項目の策定が非常に困難であることが判明した。そこで、今年度は国内の文献レビューに特化し、次年度に向けて国内の現状を着実に把握することに集中することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度の文献調査成果をもとに、高齢者・認知症患者対象研究の代表者らへのアンケートを作成・実施する。アンケート項目策定に際しては、当初2020年度に予定していた医師・多職種CRCへのアンケート・インタビューを、プレ調査として適宜実施する。これらの結果を踏まえ、本研究の課題である高齢の研究対象者の同意能力を判断する実践的なガイドライン試案のドラフト版作成に進む。 高齢者・認知症患者対象研究の代表者らを対象とするアンケートについては、当初はUMIN登録を参考にすることを想定していたが、その後の研究関係通達により、治験のjRCT登録が必須になる等の変化があった。これらの変化による研究計画の修正の要否については、アンケートのエキスパートレビューを依頼する予定の先生方に相談しつつ、研究目的の遂行のために、アンケートが適切に実施できるよう対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に必要とした消耗品費等に若干の余裕があったため、少額の次年度使用額が生じた。次年度、引き続き消耗品費等に使用予定である。
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