2022年度については、前年度に引き続き、論文の投稿と査読対応等を行った。現在、認知症ケア研究誌にて「臨床の場や臨床研究における高齢者等の同意能力評価に関する日本語論文の動向」が、査読後採択が決定し出版準備中である。 研究期間全体を通しては、村井はるか教授(現日本薬科大学薬学部)のご協力を得て、2020年度から、日本の高齢者の同意能力評価に関し、どのようなツール・方法が用いられてきたかを把握し、今後の課題を明らかにすることを目的とした文献調査およびそれらの結果を踏まえたディスカッションを行った。それにより、必ずしも定型的なツール等を用いることを必要とせず、ケースバイケースでスタッフが対象者の意思を反映する工夫をしている場面が少なくない等の現場の姿が浮かび上がってきた。また、当初予定していたインタビュー・アンケートに向けた準備として、医療ソーシャルワーカーを対象に高齢者との関わり方や、能力評価についてのお話を伺った。また、論文作成に際して、山内一信先生(東員病院・藤田医科大学名誉教授)や加藤憲教授(愛知淑徳大学 健康医療科学部)のご協力を得て検討会を行い、認知症の専門家、医療政策など様々な観点からのアドバイスをいただいた。 これらの成果について、以下の場で公表した。藤田医科大学 第7回学内研究シーズ・ニーズ発表交流会 脇之薗真理、村井はるか「高齢者対象の治療・臨床研究における同意能力評価、どうしていますか?」(2021年6月15日ポスター発表)、日本生命倫理学会第33回年次大会 脇之薗真理、村井はるか「高齢者対象の臨床研究における同意能力評価に関する文献調査」(同年11月27、28日口頭発表・オンライン)。 全体として、文献調査に多くの時間を割く結果となったが、論文出版につなげられた点は良かった。今後は医療・介護現場において必要とされる同意能力評価のより具体的な形を探っていきたい。
|