研究課題/領域番号 |
20K10360
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 特任教授 (00248254)
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研究分担者 |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学域, 教授 (10335599)
森脇 健介 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (10514862)
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (20583090)
星野 絵里 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (50598521)
兼安 貴子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90875923)
堺 琴美 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (30907035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医療技術評価 / 多角的価値評価 / 効率性と公平性 / 費用効果分析 / MCDA / 健康効用 / 費用 / 政策意思決定 |
研究実績の概要 |
2022年度も新型コロナ禍が十分収束しなかった中で、本研究班では主に文献調査やweb seminarなどからの最新情報の収集を中心とした活動を行った。その結果を概説する。 医療技術評価(HTA)を応用した政策意思決定においては、(1)効率性の追求と(2)公平性の確保が元来重要である。(1)の評価、すなわち、費用効果分析における効果(QALY)の指標に、健康以外の価値を含めるか、含める場合の価値の範囲や評価方法が議論になっている。例えば、quality weightに従来の健康効用値に加え、医薬品の利便性であるprocess utilityを加味する方法が提案されている。また、近年開発が盛んな認知症の治療薬の評価においては、効果と費用の両方に、介護に及ぼす影響の評価を入れるべきとの考えがある。しかし現時点ではいずれも提案と試みにとどまり、国際的にも手法のガイドラインが発出されるには至っていない。 一方(2)の確保においては、従来行われてきたステークホルダーによるコンセンサス作り、multi-criteria decision analysis (MCDA)のような半定量的評価法、に加えて、近年は、米国を中心としたElements of Value in Health Care(いわゆるValue Flower)で新たに提案された諸価値(従来考慮していた「費用」、「QALY」、に加えて、「生産性」、「医療遵守改善因子」、「不確実性の減少」、「伝染病恐怖」、「保険の価値」、「重症度」、「希望の価値」、「将来の期待利益価値」、「衡平性」、「科学的波及効果」)の評価法やHTAへの反映方法が検討されている(注:欧州のHTAなどではすでに、「衡平性」や「重症度」は考慮されている)。 これらの国際的な最新動向は、来年度もしっかりとキャッチアップする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の影響で、国際的、あるいは国内における対面による各ステークホルダーを交えた議論や情報収集、インタビュー調査等を十分行うことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究班の最終年度に当たる。従来新型コロナ禍の影響で十分行えなかった、研究者や関連ステークホルダーを対象とした、対面およびwebによる議論や調査を積極的に行い、日本におけるHTAの進展に寄与できる新たなエビデンスを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍が収束しなかったために、ステークホルダーあるいは研究者間の対面やwebによる議論、調査などが十分できなかった。 2023年度は、最終年度として、充分な成果をあげるべく、上記のような作業を行う予定である。
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