研究課題/領域番号 |
20K10364
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60349587)
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研究分担者 |
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90167255)
森本 剛 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30378640)
武内 治郎 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60791324)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬剤性有害事象 / 薬剤関連エラー / 小児 / 医療の質 / 予測モデル / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、小児入院患者においても高頻度で発生していることが明らかになりつつある医原性有害事象の中で、特に頻度が高い薬剤性有害事象に着目し、小児入院患者における薬剤性有害事象並びに薬剤関連エラーの詳細な臨床疫学を明らかにし、そこから得られた知見を基に事象特性に応じた発生予測モデルを作成、事象の予防又は緩和可能性を検討することを目的としている。 本研究課題では、研究代表者が過去に実施した2つの多施設ヒストリカルコホート研究の一次データを使って新たなデータベースを作成し、発生予測モデルの作成とその精度検証を実施する計画であるが、本年度はデータベース作成のための医師レビューが全て完了した。 一次データは、確立した方法論に従って作成したトレーニングマニュアルを用いて、十分に訓練した小児科医及び看護師レビューワーが全対象患者のカルテ及びその他の医療情報を経時的かつ網羅的に調査し、患者背景(潜在的リスクファクター)並びに、エラーや有害事象の可能性が疑われる事象を全て抽出したデータである。この一次データ全てについて、データ内容をレビューし、薬剤性有害事象及び薬剤関連エラーの同定、同定した事象の更なる詳細な評価、分析(発生段階、原因、有害事象の重症度、責任職種、エラーの重大性、予防・緩和可能性など)を実施したのが医師レビューであり、本研究課題の対象者全2315人において、薬剤性有害事象802件と薬剤関連エラー1197件を同定した。 次年度は、医師レビューデータの入力と、データのロジカルチェック及びクリーニングを行い、モデル作成と検証のための2つのデータベースを完成させ、薬剤性有害事象、薬剤関連エラーの特性に応じた各種発生予測モデルの作成と、それらモデルの精度検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に基づき、一次データの医師レビューを全て終了した。
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今後の研究の推進方策 |
遅滞なく研究を進めるため、次年度は専任の研究補助員を雇用し、医師レビューデータの入力、データのロジカルチェック及びクリーニングを迅速に行い、早期のデータベース完成を目指す。データベース完成後は、モデル作成用のデータベースを用いて、薬剤性有害事象、薬剤関連エラーの詳細な分析を行い、それらの特性に応じた各種発生予測モデルの作成と精度検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外における本領域の研究者との情報交換や議論、情報収集のために、国際学会及び国内学会に参加するための費用を計上したが、昨年度から本年度にかけてCOVID-19の影響を受け、国際学会及び国内学会ともに現地での参加が難しく、未使用額が発生した。 また、本研究課題は一次データが膨大であるため、一次データの管理及び医師レビューデータの入力を担当する研究補助員を雇用する人件費を計上していたが、昨年度及び本年度は研究室の感染管理対策を考慮し新規雇用を見送ったため、人件費においても未使用額が発生した。 これらの未使用額については、研究が予定通り進捗するよう、次年度に研究計画調書に基づいて使用する予定である。
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