研究課題
日本健康学会総会での発表を行った。[はじめに]本研究では医師分布がべき乗則に従う分布を観測できるかを医師・歯科医師・薬剤師調査及び医療施設調査の個票データを用いて確認することを目的とした。[方法]医師・歯科医師・薬剤師調査及び医療施設調査を用いて、1)医師個人要因、2)医療施設要因に注目し、市区町村別に合計数を求め、その合計数が1以上の市区町村を項目別に分析対象とし、べき分布への適合度検定を行った。[結果]総医師数、性別医師数、34歳未満、35-44歳、55-64歳、65-74歳でべき分布に従っていた。主たる診療科(43診療科)のうち29診療科でべき分布に従う結果を示した。従わなかった診療科は、内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器外科、消化器外科、美容外科、小児外科、産科、リハビリテーション科、麻酔科、救急科、臨床研修医、不詳であった。55専門医制度認定医のうち39専門医でべき分布に従う結果を示した。べき分布に従わなかった専門医は、肝臓、血液、リウマチ、老年病、消化器内視鏡、臨床遺伝、漢方の各専門医であった。医療施設・設備のうちFICU設置数、CCU患者数、GCU設置数以外はべき分布に従う結果になった。[考察]べき分布に従うことは、少数の人口規模の大きな市区町村が標準正規分布で期待されるよりも多くの医師・医療資源が集中していると考えられた。その背景としては、病院の集中、医療連携、高次機能病院、医師誘発需要など、医師数・医療施設が集積できる構造が考えられた。またべき乗則に従う場合は、情報の伝達や危機管理対応に優れた分布であることが期待される。ICUはべき分布に従っており、COVID-19重症患者対応に貢献していた可能性が考えられた。[結論]ネットワーク理論におけるロングテール特性を有しており、医師分布におけるネットワーク構造に従った分布が生じていることが期待される結果になった。
3: やや遅れている
医師歯科医師薬剤師調査の目的外利用申請が遅延し分析が限定されていることと、米国における技術研修がコロナウイルスの為中止になってしまった。これらについて、別途代替可能なデータを入手し、分析を補う予定である。
今年度中に、分析モデルの成熟を図るとともに、目的外利用申請を終え、新規獲得データと合わせた複合的なデータ分析を行う。目的外利用申請では、医師・歯科医師・薬剤師調査と医療施設調査の同時申請によりこれらのデータ連結を図る。またアルトマーク社のデータ利用により、さらに多くの項目をモデルに組み込むことが可能になることが期待される。米国における技術研修を予定していたが、コロナ禍によって開催が中止となった点は懸念されるが、研究遂行上の大きな障害とはならない。本年度は既存の基本モデルを発展させることを中心に進める予定である。
コロナウイルスの為海外研修が中止になったため、パソコン購入およびソフトウェアなど環境整備が延長されたことと、各種出張が取り止めまたはオンライン開催となった為
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