研究課題
地域包括ケアと地域医療構想に関する研究として、小児と周産期の医療とネットワークに関する分析を中心に研究を行った。第94回日本衛生学会総会(鹿児島)において学会発表を行った研究で、出産後から、5歳児健診までの乳幼児健診のデータを用いて、発達障害・情緒障害の経過観察あるいは加療が必要と判断されて児に着目した研究である。特に、母親の育児あるいは子供への発達障害不安の予測について分析し、高い予測能があることが示され、医療へのアクセスおよび医療ネットワーク、そして地域包括ケアへ早期に繋げることの重要性を示す報告を行った(豊川智之,他:5歳児健診での発達障害・情緒障害の経過観察児と3歳児健診における母親の不安)。Am J Obstet Gynecol誌に掲載された研究は、早産児における重度の脳性麻痺の胎児心拍数の進化と脳画像所見について着目した研究で、胎児心拍数のモニタリングが脳性麻痺の発生を効果的に減らす明確な証拠はまだないことから行った研究である。胎児心拍数の進化パターンに基づいて脳性麻痺と出産との因果関係や脳損傷のタイミングを推定し、必要に応じて医療ネットワークに繋げることの重要性を示すことに貢献する研究である。脳性麻痺の57%の乳児が胎児期に発症し、13%の乳児が分娩中の侵害によって引き起こされたと推定され、早産児における脳性麻痺の原因となる脳損傷のタイミングとタイプを示唆することができ、早期発見から周産期医療ネットワークに繋げることで、脳性麻痺の予防につながる研究であった(Nakao et al: Fetal heart rate evolution and brain imaging findings in preterm infants with severe cerebral palsy. Am J Obstet Gynecol 228(5): 583.e1-583.e14, 2023.doi: 10.1016/j.ajog.2022.11.1277)
3: やや遅れている
コロナ感染症流行によりネットワーク分析の技術的セミナー受講が叶わなかった。分析可能な範囲でのネットワーク面の分析により研究成果を蓄積に努めている。
残された研究期間において当初の計画に近い研究成果物の公表に努める。
コロナによる研究活動制限により研究期間延長申請を行ったため
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Am J Obstet Gynecol
巻: 228 ページ: 583.e1-e14
10.1016/j.ajog.2022.11.1277.