研究課題/領域番号 |
20K10374
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
今福 輪太郎 岐阜大学, 医学部, 助教 (40649802)
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研究分担者 |
長谷 由紀子 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (30835088)
吉成 祐子 岐阜大学, グローカル推進機構, 准教授 (00503898)
庄司 雅紀 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (50782603)
西城 卓也 岐阜大学, 医学部, 准教授 (90508897)
武田 裕子 順天堂大学, 医学部, 教授 (70302411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外国人患者対応 / 異文化コミュニケーション / 歯科医師 / 薬剤師 / 調整行動 / やさしい日本語 |
研究実績の概要 |
2020年度は、在住外国人患者への診療・対応経験のある医療者を対象としたインタビュー調査を実施した。具体的には、開業歯科医師11名と病院及び薬局薬剤師9名に対して、対外国人患者の診療で抱いた不安や困難と、その状況への対処や工夫、調整行動に関する経験を語ってもらうことができた。 本調査の医療従事者は、歯の単純な修復治療や薬の服用回数など簡単な内容であれば大きな問題は生じないと認識した。一方で、患者の治療希望と医療者の治療方針にズレが生じたときや、根管治療や薬の副作用、保険適用など複雑な説明を要するときには困難と不安を強く感じていた。こうした状況への対処として、1)ゆっくりとした話し方・短い句や単語の使用・専門用語の回避・断定的な表現の活用・英単語の混用といった「言語的調整」、2)翻訳アプリ・視覚的情報(図示・画像・動画)・多言語診療マニュアルなどの「ツール活用」、3)患者の主訴に応じた必要最低限の治療や説明の提供・会話内容の単純化や省略といった「複雑性への回避」等がなされた。多くの医療者は自分自身の説明や意図が外国人患者に十分に伝わっているかどうか不安を感じていた。また、疾患に対する必要最低限の治療や説明のみでその場をしのいでいるという感覚を有したが、それは質問-返答という単調な会話パターンが主となり話題の広がりや掘り下げができないことに起因している。特に、外国人患者の心理社会的背景を理解しながらの対応ができずに終わってしまい「不完全燃焼」感を覚える医療者も存在した。以上より、本調査によって、医療従事者の外国人患者対応時の具体的な調整行動や内面を厚く記述することができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19感染拡大の影響で、インタビュー調査の開始時期が遅れたものの、歯科医師11名、薬剤師9名への調査を遂行することができ、医療従事者への調査はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年4月現在、薬剤師に対するインタビュー調査を継続しているが、今後は医師をはじめとする他の医療従事者の経験を調査する必要がある。また、在住外国人に対する認識の調査も行なっていく。20年度実施の調査結果は、今後、国内学会での発表を予定しており、その内容をもとに論文発表できることを目標とする。さらに、ファカルティデベロップメントの一環として、本研究課題に関わるワークショップを企画・開催することも計画していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響で、研究参加者のリクルートに時間を要してしまい、医療従事者に対するインタビュー調査は21年度も引き続き実施する必要がある。しかしながら、研究の進展自体は順調であり、予算執行状況に大きな問題はないと考える。今後の使用計画としては、医療従事者および在住外国人へのインタビュー調査に伴う費用や、研究成果発表、研修会開催に関わる費用にあてる予定である。
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