研究実績の概要 |
本計画では、医師の共感を患者の視点から評価する10項目の質問紙である日本語版CARE(Consultation and Relational Empathy) measureについて、卒前・卒後 一貫した 実施を促進するための教育方略や簡略版の開発を目的としている。新型コロナウイルス感染症によって調査環境に変更が生じたため、非接触環境でも実施できる研究設問として下記2点を設定し、実施した。1)共感を重視する専門診療科である総合診療科は多様であると言われているが、その研究分野の多様性はこれまで他分野との比較によっては示されていなかった。そのため、その比較を行う横断研究を文献調査によって行った。2)既に出版されている日本語版CARE measureのデータ(Aomatsu, et al., 2014) を用いた二次データ解析によって、日本語版CARE measure簡略版を検討した。その結果、質問6(あなたに対する配慮 や思いやりを示した)と質問9(あなたが主体的に取り組めるように援助してくれた)の2項目が簡略版となりうる可能性が示唆された。その後研究調査環境に関し て接触環境が許容されるようになった時勢を受けて、2項目簡略版の実用化に向けて、2項目簡略版を10項目版と比較することや、診療等への満足度と比較することによる性能評価(妥当性評価や信頼性評価)を実施した。これについては、第15回日本プライマリ・ケア連合学会での成果発表を予定している(高橋ら, 2024)。また、質問紙の汎用性拡大のため、医師以外の専門職について、特に鍼灸師に対する質問紙の使用可能性について検証している。さらに、総合診療科指導医の共感の認識構造について探索しており、これについては、第15回日本プライマリ・ケア連合学会での成果発表を予定している(村松ら、2024)。
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