研究実績の概要 |
令和4年度は、コホートや既存の大規模データベースに含まれるからQoLを推定するための質問票調査を縦断的に行った。具体的には、一般住民集団を対象に、QoLの予測に必要な情報について経時的なデータを収集した。その際には、世界における包括的QoLのデファクトスタンダードであるSF-36ならびに効用値を3年間にわたって収集した。また、新型コロナウイルス感染症の流行下において、コロナウイルス感染症の罹患状況(自身ならびに周囲を含む)やワクチン接種状況、さらにはその影響による社会経済的状況の変化とQoL悪化との関連性についても経時的な疫学的検討を行った。 本年度の結果として、まず、前年度までのQoLデータならびに、新型コロナウイルス感染症の罹患状況、さらにはコホートに含まれる頻度の高い各種併存疾患や性年齢、婚姻状況、孤立、収入といった汎用性の高い項目を加えることで、QoL(EQ-5D, SF-6D, 各種サマリースコア)の精度の高い予測が可能であることが示唆された。また同時に、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種忌避に関する調査も行った。結果として、各種想定される交絡因子で調整してもなお、Lubben Social Network Scale -6(LSNS-6)で測定した社会的孤立と、経時的なワクチン接種忌避との間に関連性があることを明らかにした。さらには、このデータベースを活用して、新型コロナウイルス感染症の感染状況(周囲の人も含む)とそう痒との関連性についても示唆する所見をえた。
なお、QoLの推定に関するデータ収集については、本研究課題終了後も継続して行い、日本のQoLの推移を記述するためのデータベースとして活用する予定である。
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