研究課題/領域番号 |
20K10384
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松山 泰 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458320)
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研究分担者 |
淺田 義和 自治医科大学, 医学部, 講師 (10582588)
岡崎 仁昭 自治医科大学, 医学部, 教授 (40285789)
清水 郁夫 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60716231)
田中 淳一 東北大学, 大学病院, 助教 (80643329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己調整学習 / 専門職アイデンティティ形成 / 問題基盤型学習 / 医学教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、専門職アイデンティティ形成(professional identity formation: PIF)指向型のメンタリングを併用したproblem based learning (PBL)が、指数関数的に増加する医学知識に対応できる自己調整学習力(SRL:self-regulated learning)の向上に有用であるかを検証するものである。 SRLは省察→予見→遂行で示される学習サイクルに学習者自身が能動的に関与することである。PIFは社会的交流の中で医療専門職としての価値観や規準を内在化させた個人のアイデンティティを形成させることである。 我々の研究で、1) 医療専門職としての価値観や規準を言語化しながら学生に医師としての将来像を描かせ、2)将来像を軸として現在の自己を省察させ、3)学習課題に取り組む意義を認識した状態で、4)ロールモデルから多様な学習方略が提案されると、SRLが向上する可能性が示されている。2)は省察、3)は予見、4)は主に遂行の段階に関連する。 2020年度、自治医大医学部3年生を2群に分け、通年7回行われるPBLのうち第2~4回、第5~7回を介入期間とし、クロスオーバー試験を行う予定であった。A群は第2~4回に、B群は第5~7回にPIF志向型のメンタリングを体験し、通年でPIFとSRLの発達段階を半定量/定量スコアで比較する予定であった。しかし新型コロナウイルス感染症のために全てのPBLは中止となった。 そこで、2019年度に予備実験として行っていた、同医学部3年生112名を対象としたクロスオーバー試験の結果を詳細に分析し、ひとまず論文化した(BMC Med Educ 2021;21:30)。また、その分析結果に基づいて、PIF志向型のメンタリングの問題点を改善し、来るべきPBLの再開に向けて準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のために、研究の対象となる自治医科大学医学部でのPBLが中止となったのが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実施を計画していた、より洗練されたデザインによるクロスオーバー試験は行えなかったものの、2019年に予備試験として行ったクロスオーバー試験(自治医大臨床研究審査委員会で承認済み)のデータがあったため、論文化した。結果的に、現法のメンタリングではPIFやSRLを有意義に改善させることは証明できなかった。 これによりPIF志向型メンタリングの欠点が明らかになった。2021年度は、2022年度の複数施設でのクロスオーバー試験に向けての準備期間であったが、単なる研究の準備期間とせず、よりPIF志向型メンタリングの質の向上を図りながら準備を進めていく予定である。 幸い複数施設での研究を計画していたことは、新型コロナウイルス感染症流行下においても、研究可能な施設が含まれる可能性を高くする。感染症流行下において、教育介入が安全かつ適切に行われるよう、遠隔ビデオ会議システムなどを駆使したメンタリングプラットフォームを確立していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の支出が予定より下回った理由は、コロナウイルス感染症の流行によって、国際学会へ参加するための旅費が不要となり、海外研究協力者とのコンサルテーションの機会がなく謝金の支払いが無くなったことが大きい。また、当初予定していたパソコンの購入において、コロナウイルス感染症の流行で受注業者との交渉が遅れてしまったことも理由となる。 2021年度、2020年度に購入するはずであった研究用のパソコンを購入したい。また、2021年度においては、2022年度に実施する多施設研究の実施に向けての国内出張が予想される。また、オンライン開催ではあるが国際学会への参加を積極的に行う予定でいる。ゆえに残額は旅費・学会参加費として使用したい。また、欠点があった研究のデザインや介入内容の質向上のために、2021年度行えなかった分、より頻回に海外研究協力者とオンラインミーティングを開催する。残額はその謝金に活用したい。
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