研究実績の概要 |
本年は、疾患特異的な選好に基づく尺度(preference-based measure: PBM)のうちEORTC QLU C-10DとFACT-8Dに関して検討を行った。EORTC QLU C-10Dは生存期間(duration of life、1年/2年/5年/10年)を属性に加えた離散選択法(discrete choice experiment: DCE)を用いて、2,435名から健康状態の価値付けに関する回答を得た。各回答者には16個の健康状態の組み合わせについて、望ましい健康状態について選択をお願いした。これらの結果について条件付きロジット法を用いて解析を行い、EORTC QLU C-10Dは日本における換算表が確定した。EORTC QLQ C-30の回答からQOL値を推計することが可能となった。10ドメインのうち、影響の大きさの順に「physical functioning」「role functioning」「pain」「nausea」であった。日本における最悪値は-0.221であったが、これはすでに換算表の存在する諸外国と比べると、最悪値は0.048(Poland)、0.032 (US)、0.025(Italy)、-0.001(Germany 2)、-0.043 (Spain)、-0.083 (UK)、-0.096(Australia)、-0.111(Austria)、-0.15(Canada)、-0.159(Netherland)、-0.441 (France)となっており、日本はフランスを除き最も最悪値が小さい値を示した。 FACT-8Dに関しても現在解析が完了しており、公表に向けて作業を進めているところである。
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