研究課題
人口減少地域である福井県三方上中郡若狭町の協力を得て、町内の高齢者を対象に2年間、年1回のペースでサルコペニア検診を実施し、同時に対象者の2年間の緊急入院件数と救急搬送件数、入院件数を調査する。サルコペニアの診断はBIA法(Bioelectricalimpedance analysis,生体電気インピーダンス法)を用いた体組成計測と体力測定で行い、Asia working group of sarcopenia(AWGS)基準を用いる。検診は町内各地域の公民館に赴き、研究チームと町職員、地域住民(有志サロン)と共同で実施する。本年度は2021年4月~2021年12月に町内25個所においてサルコペニア検診を実施し372名の参加を得た(女性比率は70.4%)。年齢は77.5±7.9歳で、サルコペニアの比率は全体で8.3%(31例、男性10例、女性21例)、プレサルコペニアは10.5%(39例、男性15例、女性24例)、ダイナペニアは7.5%(39例、男性15例、女性24例)であった。救急車利用者は3.5%(13例)、入院者は9.7%(36例)で、救急車利用者割合は2020年より増加(1.7%、5例)、入院件数は減少(12.9%、38例)した。サルコペニアと救急搬送件数、入院件数の関係については解析中である。本研究の準備研究では身体的フレイルのリスクに関わるサブ解析を実施した。多変量解析の結果、入院歴(p=0.02, オッズ比9.9)が身体的フレイルの独立した危険因子と考えられ、International Journal of Gerontology誌に投稿し採択された(2022年07月)。本研究では本論文をベースにサルコペニアの新たな危険因子を解析中であり、現在論文投稿を行っている。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍にも関わらず、町内25箇所の公民館で300名以上の検診を実施することができた。ほぼ全員の四肢骨格筋指数と歩行速度、握力の計測が出来ており、約2/3の問診は担当者1名が行っている。
本研究が契機となり、福井大学と若狭町の間で包括的連携協定が結ばれ、産官学型フィールドワーク研究「わかさ健活プロジェクト」が発足した。プロジェクトは2022年から3年計画で、本研究の検診スタイルを継承しながら検診と検診の合間に住民の互助活動とIT/AI機器を併用した運動・栄養介入を行い、サルコペニアへの影響を検討する。サルコペニア予防に関する新たな知見と方法論の確立が期待される。
コロナ禍により当初予定で実施できなかった検診会場がある。このため、次年度に追加検診を実施し、約100名のデータを新たに獲得する予定である。このため次年度使用額が生じている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
International Journal of Gerontology
巻: 16 ページ: -