分光スペクトルイメージ技術を用いた革新的な医薬品鑑査システムの開発

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K10400
• 研究機関: 岐阜大学
• 研究代表者: 小林 亮 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (50555662)
• 研究分担者: 岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (30402176) ; 渡邉 崇量 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30509435) ; 富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510) ; 鈴木 昭夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80775148)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 医療安全 / 分光スペクトルイメージング / 医療過誤 / 医薬品鑑査 / 院内製剤

研究実績の概要

薬剤に関連する医療過誤は最も典型的な医療過誤であり、重大な転機をもたらす可能性がある。現在用いられる医薬品の鑑査システムとして錠剤では、画像認識技術等を使う鑑査システムが開発されているが、混合等の調剤の完了した後には判別が困難な粉末医薬品や粉砕後の錠剤等を確認できるシステムの開発が望まれる。
本研究では、同時に異なる波長の画像を取得・組み合わせることにより、目に見えない様々な情報を読み取ることのできる分光スペクトルイメージング技術を利用して、これまで確認が困難であった判別困難な医薬品の医薬品鑑査システムへの応用を目的として研究を行っている。
本年度は粉砕後の医薬品を混合した際にイメージングスペクトルを取得し、分類できるかを検討するとともに、昨年度判別困難であった表面の性状が類似する医薬品について様々な条件下で分光スペクトルイメージングにより分類できないかの検討を行った。粉砕後の医薬品を混合した際にも混合した医薬品を分類することができたが、やはり性状が類似した医薬品については分類が困難な場合があった。また昨年度困難であった表面の性状が同一の医薬品について重点的に検討を行ったが、一部分類が困難な医薬品が残った。そのため、薬剤の性状によって分類方法の再検討が必要であると考え、さらなる条件の検討を行っている。
薬剤の定量的な評価についてはスペクトルを取得し、定量化の条件検討は行っているが、現状は医薬品の分類に用いる定性的な評価を優先している。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では令和3年度は混合や希釈をした医薬品について判別の精度の検討およびスペクトルの変化に基づく定量法の検討等を行うこととしていた。
当初の予定では各医薬品の薬品を分類するのみであれば、可視光のスペクトルで比較的容易に行うことが出来ると考えていたが、検討を進めるにあたり、医薬品の種類によっては分類そのものが困難である明らかとなり、これらの医薬品については可視光領域のイメージングカメラを用いた分類方法の再検討を行っているが、条件を変更した場合にも分類が困難である医薬品が存在している。一方分類できるものに関しては混合した場合にも、イメージングスペクトルにて分類が可能であり、こちらについては計画通り進行している。

今後の研究の推進方策

令和4年度は令和3年度に引き続き、可視光のハイパースペクトルイメージングカメラを用いて各医薬品のスペクトルを測定し、医薬品をスペクトルデータ別に分類することを中心に行う。また混合した粉末または粉砕した医薬品の分類や混合後の医薬品についてもさらに検討を行う。さらに実際に分類ができた薬剤については混合した場合にも判別可能であるかどうか検討を行う。また可視光で分類が難しい場合には、近赤外や紫外領域のスペクトルを利用するカメラを用いた検討を行う。さらに分類が困難なものについて再度条件検討を行うとともに、定量法の検討も可能であれば進めていく。

次年度使用額が生じた理由

検討の遅れから一部の検討を次年度へ繰り越したため、一部経費も次年度への繰り越しとなった。本年度使用する予定である。

研究成果

• [雑誌論文] 光触媒を利用した抗がん薬分解フィルムの開発 (2021)
  • 著者名/発表者名: 山田 紘嗣, 山田 悠人, 小林 亮, 林 秀樹, 鈴木 昭夫, 上野 隆弘
  • 雑誌名: 癌と化学療法 巻: 48 ページ: 933-937
  • 査読あり
• [雑誌論文] Anorexia, pain and peripheral neuropathy are associated with a decrease in quality of life in patients with advanced pancreatic cancer receiving outpatient chemotherapy - a retrospective observational study. (2021)
  • 著者名/発表者名: Hironori Fujii, Maaya Koda, Shiori Sadaka, Koichi Ohata, Hiroko Kato-Hayashi, Hirotoshi Iihara, Ryo Kobayashi, Takuma Ishihara, Shinya Uemura, Takuji Iwashita, Hideki Hayashi, Tadashi Sugiyama, Masahito Shimizu, Akio Suzuki
  • 雑誌名: Journal of pharmaceutical health care and sciences 巻: 7 ページ: 27
  • DOI: 10.1186/s40780-021-00210-1
  • 査読あり
• [雑誌論文] Comparison of Chemotherapy-induced Nausea and Vomiting Between Gemcitabine Plus Nab-paclitaxel Combination Chemotherapy and Gemcitabine Monotherapy in Patients With Advanced Pancreatic Cancer. (2021)
  • 著者名/発表者名: Koichi Ohata, Hironori Fujii, Shiori Sadaka, Hiroko Kato-Hayashi, Hirotoshi Iihara, Ryo Kobayashi, Shinya Uemura, Takuji Iwashita, Masahito Shimizu, Akio Suzuki
  • 雑誌名: Anticancer research 巻: 41 ページ: 3643-3648
  • DOI: 10.21873/anticanres.15154
  • 査読あり
• [雑誌論文] Association of albumin-bilirubin score in patients with colorectal cancer receiving later-line chemotherapy with regorafenib. (2021)
  • 著者名/発表者名: Daichi Watanabe, Hironori Fujii, Yunami Yamada, Nobuhisa Matsuhashi, Akitaka Makiyama, Hirotoshi Iihara, Takao Takahashi, Shigeru Kiyama, Ryo Kobayashi, Kazuhiro Yoshida, Akio Suzuki
  • 雑誌名: International journal of clinical oncology 巻: 26 ページ: 1257-1263
  • DOI: 10.1007/s10147-021-01910-2
  • 査読あり
• [雑誌論文] Primary Prophylaxis of Febrile Neutropenia With Pegfilgrastim in Small-cell Lung Cancer Patients Receiving Amrubicin as Second-line Therapy (2021)
  • 著者名/発表者名: Yukina Sato, Hirotoshi Iihara, Motohiko Kinomura, Chiemi Hirose, Hironori Fujii, Junki Endo, Komei Yanase, Daizo Kaito, Yuka Sasaki, Takenobu Gomyo, Chizuru Sakai, Masamichi Iwai, Yoshiki Tsuboi, Takuma Ishihara, Ryo Kobayashi, Yasushi Ohno, Akio Suzuki
  • 雑誌名: Anticancer research 巻: 41 ページ: 1615-1620
  • DOI: 10.21873/anticanres.14923
  • 査読あり
• [雑誌論文] Albumin-bilirubin score for predicting neuropsychiatric symptoms in patients receiving ifosfamide-based chemotherapy. (2021)
  • 著者名/発表者名: Shinya Shimizu, Yuichi Hayashi, Shohei Nishida, Hironori Fujii, Mitsuhiro Nakamura, Nobuaki Yoshikura, Akihito Nagano, Junichi Kitagawa, Nobuhiro Kanemura, Kosuke Mizutani, Ryo Kobayashi, Takuma Ishihara, Hideki Hayashi, Takayoshi Shimohata, Tadashi Sugiyama, Akio Suzuki
  • 雑誌名: Journal of clinical pharmacy and therapeutics 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.1111/jcpt.13355
  • 査読あり
• [学会発表] テモゾロミド併用放射線療法における5-HT3受容体拮抗薬の連日内服の忍容性に関する検討． (2021)
  • 著者名/発表者名: 關谷久美子，原田紗希，後藤咲香，藤井宏典，飯原大稔，小林亮，鈴木昭夫．
  • 学会等名: 第31回日本医療薬学会年会
• [学会発表] 抗がん剤の適応外使用の調査結果ー特定機能病院． (2021)
  • 著者名/発表者名: 塚田敬義，鈴木昭夫，谷口泰弘，小林亮，飯原大稔，熊田恵介，村上啓雄．
  • 学会等名: 第59回日本癌治療学会学術集会