研究課題/領域番号 |
20K10403
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
川野 孝文 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40457651)
|
研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (10614638)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (30757919)
倉島 庸 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374350)
春松 敏夫 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (70614642)
山田 耕嗣 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (80528042)
パウデル サシーム 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80811489)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Global Surgery / ニーズアセスメント / 小児内視鏡外科 / 外科医の育成 / ネパール / 内視鏡外科手術トレーニング / シミュレータ |
研究実績の概要 |
ネパール医科大学小児外科(ネパール連邦民主共和国)およびネパール小児外科学会と共同で、我々の研究グループがこれまでに開発した内視鏡外科手術トレーニングのシミュレータのノウハウを用いて、低中所得国におけるニーズを評価し、内視鏡外科医を育成するプログラムを作成することを目的とする。 【具体的内容】ネパール小児外科医の内視鏡手術に対する意識調査およびニーズアセスメントを行った。COVID-19の影響で2020年度には現地に赴くことはできていないが、Skypeでのミーティングを重ねている。2019年度に現地で行ったハンズオンセミナーにおいて得られたニーズアセスメントのアンケートの検討を行い、現地の外科医が何を求めているか、何が障壁になり得るかを洗い出している。 【意義】世界では現在、50億人が必要な時に外科医療にアクセスできない状況であり、外傷、出産、デブリードマンの必要な感染創など、外科医療を提供できる環境では治療可能な疾患で命を落としている。外科医療の世界的な不均衡の是正は21世紀における公衆衛生の重要な目標の一つであり、Lancet Commissionは最重要必要事項として「外科医の育成」を上げている。外科医の育成は各国にとって急務であり、Global Surgeryは世界各国で盛んに研究が行われている分野に発展しているが、残念ながら日本からの報告はほとんどない。 【重要性】国際的な外科医療の地域間格差を解決するためには、外科医の育成が急務である。そのなかでも内視鏡外科手術に精通した外科医の育成は、低中所得地域がはらむ様々な問題を解決する可能性が高いと考えられる。我々の研究グループが開発した内視鏡外科トレーニングのシミュレータを用いて内視鏡外科医を育成することで、外科医療における地域間格差を是正するための一助になり得る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で現地に赴くことはできていないが、オンラインでのコミュニケーションを続けている。 腹腔鏡下ヘルニア根治術(LPEC, laparoscopic perctaneous extraperitoneal closure)のシミュレータの製作および日本の医学生への内視鏡外科シミュレータを用いた手術手技教育研究による経験とデータを蓄積している。
|
今後の研究の推進方策 |
現地に赴き、現地のニーズに合ったシミュレータ開発およびトレーニングを行う。本邦で開発された術式である腹腔鏡下ヘルニア根治術など、症例数が多く、臨床への導入が比較的容易な術式に対する需要が高いことが予想されるが、高難易度手術に対する需要にも、すでに開発・客観的評価済みの胆管空腸吻合モデルや食道閉鎖症モデルなどによって十分に対応可能である。シミュレータによる技術指導は、ZoomやSkypeなどを用いてウェブ上で可能であるため、現地に頻回に赴く必要はないと考えている。また同時に医学生やレジデントにもシミュレータを体験してもらうことで、小児外科に対する意識の変化(志望科や学習意欲の変化)を調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の遷延により、学会への参加の際の旅費が不要になったことが要因として考える。状況に応じての参加、Web等での情報発信をしていく。
|