研究課題/領域番号 |
20K10404
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水口 徹 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30347174)
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研究分担者 |
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20359996)
九冨 五郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10404625)
永山 稔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40398326)
沖田 憲司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70517911)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | QOL / 外科手術 / 高齢者 / IOT / AI |
研究実績の概要 |
乳がん患者の術後QOL調査をBREAST-Q, EQ-5D-5L, HADSを使用して行った。乳房温存療法 (N=116)と乳房全摘術 (N=138)の患者を比較した。全摘群では病期が高く (P<0.001)、腋窩郭清術が多く (P=0.049)、放射線治療は少ない (P<0.001)などの術式選択に影響する臨床因子に特徴がみられた。Structural equation modeling (SEM)では、温存群および全摘群のCFI (Comparative fit index)が0.985および1.000であり当てはめの良好なモデルが構築された。QOL因子はBQ1, BQ2, BQ3, QOL, HADS-不安, およびHADS-抑うつで両群間で有意差を認め、温存群において良好な結果であった。SEMによるQOL因子の関係は、温存群では各因子への影響が多く複雑なモデルとなった一方で、全摘群では因子ごとに独立性が高く単純なモデルが得られた。 肝切除のQOL値を標準化するためにメタ解析を行った。8研究を採用した (PROSPERO: #CRD42021225970)。FACT-Hepの3か月後では体力的指標が一時的に改善する傾向がみられるが、12か月後には術前値とほぼ同じになることが明らかとなった。SF-36による腹腔鏡下肝切除術と開腹肝切除術の比較では、身体的指標と精神的指標で腹腔鏡下肝切除術の方が良好な結果となった(P=0.06とP=0.001)。また、術前と比較した3か月後のSF-36は身体的指標 (P=0.04)と精神的指標 (P=0.02)のいづれも3か月後で改善していた。EORTC QLQC30 では総合健康指標(P=0.06)、身体能力指標(P=0.0004)、認知指標(P=0.02)と術後6か月で悪化するが、12か月では回復することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ePROのシステムはプログラミングをほぼ完了し、一部で情報の収集を開始した。コロナ禍の影響で家族からのサポートが得られにくく、高齢者に対応したインターフェースの再構築が必要で、システムの組み換えに着手した。研究協力施設は4施設でIRBが通過し、1施設で審査中である。データは収取中であり、一部の領域では既に論文化もされ、計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
プログラムの仕様を高齢者用に修正する必要があり、運用サイトに加えて開発サイトを併設し、動作確認を行っている。本年度は、各研究協力施設において円滑な症例登録が行われるように、ミーティングや検討会を予定する。各領域で1000例を超えた領域からAIによる予測モデルの開発に着する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、患者・家族の面会制限などで、説明に必要な資源を準備できなかった。また、学会なども中止や延期のために、支出が行われなかったため。使用計画は、患者・家族にモバイル端末の使用法に関するウェビナーを開催したり、システムに使用法のPDFや動画を組み込むようにプログラムの修正と変更を行う。また、モバイルを設置し患者教育のための支出を予定する。
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