研究課題/領域番号 |
20K10404
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水口 徹 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30347174)
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研究分担者 |
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20359996)
九冨 五郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10404625)
永山 稔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40398326)
沖田 憲司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70517911)
石貫 智裕 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (50895076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | QOL / 外科手術 / 肝臓 / 肝炎 / 肝硬変 / 肝がん |
研究実績の概要 |
世界的なQOL効用値の標準を把握するために文献的検討と解析を行った。EQ-5D-5LのQOL効用値は、健常者:0.8413+0.195, 代償性肝硬変:0.8113+0.2261,非代償性肝硬変:0.7903+0.2182,SVR:0.846+0.1816,肝細胞癌:0.8127+0.2084であった。EQ-VASは健常人で79.796+17.614%であった。男女では男性の方が女性よりもQOL効用値が有意に高かった(0.8267+0.2229 vs. 0.7922+0.229: P<0.0001)。この結果から、代償性肝硬変と肝細胞癌にQOL効用値に相違を認めず、症状の変化なく発がんすることが立証された。次に肝硬変であってもSVRを得られるとQOLは健常人と同レベルまで回復することが示された。男女差は肝疾患に影響されるQOLは女性で悪化することが明らかになり、ホルモンなど内分泌性の関与が示唆される。 また、代償性肝硬変とSVR患者をSF36で比較すると身体役割(61.5+31.6 vs. 73.3+27.3: P=0.004)、健康度(64.8+20.9 vs. 74.8+18.5: P<0.001)、活力(70.5+24.0 vs. 78.1+18.4: P=0.002)、感情役割(56.8+32.0 VS. 68.1+27.3: P<0.001)がSVR群で改善することが明らかとなった。また、C型肝炎はHealth Utilities Index-Mark2 or 3による評価ではB型肝炎より有意にQOLの悪化が確認された(0.6312+0.2867 vs. 0.8186+0.1886: P<0.0001)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は患者QOLを把握するために、患者の自主的な報告を家族がサポートしながら運用することを想定していた。しかし、コロナ禍の影響で家族への教育が困難なことと、高齢者の低いモバイルリテラシーのために運用に苦労した。そこで、計画を見直し、自動的に生体情報を収集する新たなヘルスアプリケーションの開発に気付き、着手した。PROからARO (Auto reporting outcome)と言った新たな分野の開発に成功したことは、大きな進歩である。一方で、当初の提案研究は現状のままでは発展性がないため、双方の効果を相殺し、おおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は生体情報の自動収集化に向けてFitbitやInBodyのアカウント登録とePROアカウントの紐づけ作業に入る。紐づけにはOAuth2.0 APIによって各社のクラウドデータにePROからデータを読み込みに行く。また、音声AI感情解析を実装するために、ボイスボットの開発を行う。ボイスボットはボイスダイアリーとして開発し、その音声データをEmpathサーバーへ転送し、AI解析結果をePROのデータウェアハウスに蓄積する。これらのデータをクレンジングし、IBM Cloud pack for dataでモデル作成・配布・予測モデル開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の提出中であり、出版費用の支出が見込まれるため。
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