研究実績の概要 |
2020年3月に実施した住民調査の結果を用いて、SymTrakの信頼性と妥当性を検証した。75歳以上(介護度3~5は除外)約8,900名に調査票が配布され、約5,600名(約63%)が返送した。うちSymTrakに完全回答した約3,800名のデータを分析した。 基本属性は、平均年齢81.3歳、男性46%、高血圧55%、糖尿病15%であった。SymTrak23の症状のうち回答者の有する症状数の平均は10.7、中央値は10、範囲は0~23、SymTrakの総得点の平均は14.4、中央値は12、範囲は0~67であった。症状数および総得点は年齢とともに上昇する傾向を認めた。23項目のうち、#1 Feeling tired or having low energy、#2 Trouble falling asleep or trouble staying asleep、#3 Pain interfering with daily activities、#4 Pain in the back, arms, legs, or joints、#5 Foot pain or foot numbness、#10 Trouble with vision、#18 Worrying too much about different things、#23 Memory lossで頻度が高い傾向がみられた。 因子分析では、主因子法を用いて固有値を算出、各項目の因子負荷量も評価した。信頼性(内的整合性)の検証では、Chronbachαを算出した。また、基準関連妥当性の検証では、SF-8、サルコペニア(SARC-F)、転倒歴等を参照とした。解析の結果、米国の先行研究と同様に、SymTrakを構成する23項目は1因子構造であり、内的整合性はよく、SF-8のPCSおよびMCSと強い相関を認めた。
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