研究課題/領域番号 |
20K10413
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
押淵 英弘 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (90568073)
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研究分担者 |
高野 公輔 東京女子医科大学, 医学部, 臨床心理士 (00866171)
筒井 順子 田園調布学園大学, 人間科学部, 准教授 (20363624)
赤穂 理絵 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60627636)
小林 清香 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (40439807)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 心理社会的要因 / 評価尺度 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
2020年度は、スタンフォード大学で作成された心理社会的評価を目的としたThe Stanford Integrated Psychosocial Assessment for Transplantation(以下 SIPAT)尺度を本邦で利用するために、SIPATを 日本語版を作成し、内的妥当性と外的妥当性を検証し、中間解析を報告した。2021年度は最終解析を行い、評価者間一致率は(ExpertとNovice)、尺度間一致率(日本語訳SIPTとJ-PACT)が十分に高いことを示した。以上より、日本語訳 SIPATは評価者の移植面接の経験を問わずに一定の心理社会的評価を可能とすることが示唆され、日本語訳SIPATの高い評価者間信頼性、尺度関連妥当性を示した。以上の内容について、 国際学会誌であるJ Acad Consult Liaison Psychiatryに投稿し受理された (PMID:3486909)。 2022年度は、まず、2021年度中に追加エントリーされた対象を含めたデータクリーニングとデータベース構築を行なった。完成されたデータベースを用いて、1)予後予測妥当性の検証、2)臓器移植前植込み型人工心臓植込み後のメンタルヘルスの調査、3)臓器移植前患者の認知機能の調査を行なった。1)は腎移植後のメンタルヘルスとSIPATの特定項目とに有意差があり一定の予後予測可能性が示された。2)は、植込み型人工心臓植込み後の適応障害発症リスクが増加する可能性が示唆された。3)は、全般的に臓器不全患者の認知機能が低下していることが明らかになった。いずれも国際誌に投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1)SIPATの日本語版を作成し、2)評価者間信頼性、3)尺度関連妥当性、4)予後予測妥当性を検証し、その上で5)公益に資する形式で公表することである。2022年度までに4)まで達成し、4)については今後国際誌に受領されることで学術知見となる。2023年度までに5)まで充分に達成される見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はSIPAT評価尺度の予後予測妥当性について国際雑誌に論文化する。その上で、日本語版SIPATをインターネット上でデジタル書籍として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はデータ解析と論文執筆が主な活動であった。また、コロナ感染拡大予防のために学会にはリモートで参加した。以上2点から使用額が想定より減じた。2023年度は計3本の論文作成、学会の現地参加による他施設研究者との情報交換などを積極的に行う予定であり、一定の費用が生じる。
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