研究課題/領域番号 |
20K10415
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
清水 直樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60415594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療安全 / 新型コロナウイルス感染症 / レジストリ / 小児医療 / 小児救急 / 小児集中治療 / 院内心停止 / 気管挿管 |
研究実績の概要 |
小児病棟環境の安全性につき、現状把握と改善方略の科学的根拠を提供することが本研究の目的である。その為、既存症例レジストリのビッグデータを利用する。病棟環境安全性評価指標としては、院内心肺蘇生と気管挿管有害事象を用い、小児院内心停止レジストリJNRCPR1,2)と気管挿管レジストリNEAR4KIDS3)を用いることとした。複数レジストリの基本患者情報をコア情報として共有するためCore Registry4)の開発が完了し、日本集中治療医学会JIPAD5)との比較連携も議論調整した。小児急性期医療領域での包括的症例レジストリを構築する試みは初めてであり、小児医療の安全性検証とも関連するという観点からも、その意義と重要性は大きい。さらに、新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等との連携も模索することとした。 1)Circ J.2011;75(4):815-22. Yokoyama H, Shimizu N, J-RCPR Investigators. 2)日本集中治療医学会雑誌. 2012; 19(suppl): 194. 清水直樹, JNRCPR group. 3)Pediatr Crit Care Med. 2018 Jan;19(1): e41-e50. National Emergency Airway Registry for Children (NEAR4KIDS) and Pediatric Acute Lung Injury and Sepsis Investigators (PALISI) Network. 4)厚生労働科学研究報告書「小児救急医療体制の品質評価・最適化・情報発信のための小児救急医療統合情報システムの開発研究(清水直樹)」 5)https://www.jipad.org
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療安全評価指標としては、心肺蘇生事象(心停止・高度徐脈)発生率・発見から心肺蘇生開始までの時間・緊急気管挿管実施の仔細・ 蘇生薬剤の投与経路確保ならびに投与状況の仔細・電気的除細動実施の仔細・自己心拍再開率・生存退室率・生存退院率・1か月後の神経学的転帰等を用いる。心肺蘇生発生前の切迫心停止事象については、気管挿管処置関連有害事象として、低酸素発生率・低血圧発生率・心停止発生率・生命転帰等を用いる。これら情報は、小児院内心停止レジストリJNRCPRと気管挿管レジストリNEAR4KIDSから抽出される。 JNRCPR, NEAR4KIDSは、小児急性期医療における重篤小児症例の診療プロセスにおいて発生した各種事象(心停止・心肺蘇生や気管挿管など)を登録する、それぞれ独立したレジストリであるが、これら事象の発生母体となる重篤小児自体の症例レジストリも必要となり、それがCore Registryとなる。先行研究により基本骨格が完成していたCore Registryを完成させ、JNRCPRとNEAR4KIDSとの連携開発を、前年度に引き続き実施した。加えて、小児一般病棟の重篤小児症例の Core Registryへの登録作業が開始された。小児一般病棟との比較対象として設定した小児特定集中治療室重篤小児症例のCore Registry重複情報が、JIPAD(https://www.jipad.org)から得られるようにする仕組みは昨年度に準備されており、今年度は小児一般病棟と小児特定集中治療室とから得られるCore Registry情報と、それに連結したJNRCPRならびにNEAR4KIDS情報とを用いた比較検討を具体的に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等との連携も模索した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は以下のとおりである。 1)JNRCPRならびにNEAR4KIDSとCore Registryとの連携開発を完成し、医療安全評価指標について検討する 2)小児一般病棟(聖マリアンナ医科大学小児科学講座)重篤小児症例のCore Registryへの登録作業を継続する 3)小児特定集中治療室(東京都立小児総合医療センターPICU)の重篤小児症例のCore Registry重複情報を、JIPAD経由で入手する 4)小児一般病棟と小児特定集中治療室とから得られるCore Registry情報と、それに連結したJNRCPRならびにNEAR4KIDS情報とを用いた比較検討を具体的に進めてゆくとともに、全国展開のための社会的調整も進める 5)新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等との連携を進めるとともに、将来の感染症Xに対する準備や、サーベイランス機能についても検討を進める
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究遅延が2年目にも影響したため、前年度繰越金の約半額を翌年に繰越すこととなった。最終年度であるため、これまでの遅れを取り戻すよう症例登録を進める予定である。
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