研究課題/領域番号 |
20K10417
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
青木 瑠里 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30465520)
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研究分担者 |
伴 信太郎 愛知医科大学, 医学部, 特命教授 (40218673)
宮本 淳 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40340301)
佐藤 麻紀 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60351102)
鈴木 孝太 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90402081)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学修支援 / 学習意欲評価 / 精神的健康度評価 |
研究実績の概要 |
日本の医学部卒前教育の大きな問題の一つとして「留年生の増加」がある。本学においても、留年生の数は増加傾向にあり、2017年度から留年予備軍と思われる成績下位者に対し、学修支援勉強会(Small Group Peer Teaching)を導入してきた。2020年度においては、コロナ禍のため、成績下位者に対しては、学修支援対象者であることの通知のみで、学修支援勉強会は開催できなかった。このようななか、学修支援対象者に対して、学習意欲評価(MSLQ : Motivated Strategies for Learning Questionnaire)および精神的健康度評価 (UPI: University Personality Inventory)を用い、前学期前後および後学期前後で、MSLQとUPIがどのように変化したかを検討した。学習支援対象者に対して、Webにてアンケート(MSLQ, UPI)を実施した。MSLQは、動機づけ尺度である「内的目標志向」「外的目標志向」「学習価値」「学習や成績に対する自己効力感」「テスト不安」「学習能力やスキルの保有」の6下位尺度から構成される。アンケート実施の結果、MSLQの下位尺度である「内的目標志向」および「外的目標志向」が、2年生において、後学期開始時と比較し後学期終了後において、低下しており、学習意欲の低下が見られた。さらに、UPIの下位尺度である「抑うつ傾向」が、後学期開始時に比べ、後学期終了時で上昇しており、抑うつ傾向が見られた。2020年度は、コロナ禍であり、学修支援勉強会は開催できなかったため、学修支援勉強会による学習意欲評価や精神的健康度評価は検討できなかったが、2021年度においては、学習支援勉強会実施における学習意欲や精神的健康度に対する影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は学生の授業形態・生活形態が大きく変化した。オンライン型の授業を余儀なくされ、学生同士のコミュニケーション機会も大きく減ることになった。これは2019年に蔓延が開始したCOVID-19による影響が大きく、学習環境のみならず、生活環境にも変化を及ぼした。もともと医学部は特に日本全国から学生が集まること、親元を離れること、一人暮らしをすること、今までの勉強スタイルの変革を求められることなど様々な環境変化に順応しなくてはならないが、こういったことに順応できず留年が増加傾向にあったが、COVID-19は、さらなる負荷を学生に与えることになった。 学修支援勉強会は、勉強の仕方や物事の考え方を仲間を通じて知るということも念頭に置いて行われているため、本年度の学生の授業形態の変化は学修支援を必要とする学生に対してはさらなる負荷を与えられることとなった。本年度の結果を踏まえ、来年度の勉強会スタイルを検討・変更し、彼らに必要な学修支援体制を再度構築する。
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今後の研究の推進方策 |
あくまでも本研究の目的は、学生の学修支援体制を構築し、学業成績と、学修モチベーションをアウト膜として包括的かつ重層的に評価することである。 次年度でも、学修支援対象者を前年度成績を評価し抽出する方針である。そのうえで、COVID-19環境下でも、感染管理を徹底した学修支援勉強会の実施を検討し、学業不振者のサポート体制を模索する。学修支援勉強会開始前後でMSLQを、開始前にUPIを調査・評価し、学修支援勉強会のあり方を評価し今後の体制につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の学会がすべてオンライン型もしくは中止となったため、旅費を中心とした差額が生じることとなった。さらに、学会中止に伴い、学会に必要とする機材・物品の購入も差し控えたため、予定額の使用に至らなかった。 来年度の学会についてもまだCOVID感染状況により大きく変化すると考えられるが、研究を積極的に進め、必要機材・学会対応等を行っていく予定である。
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