研究課題/領域番号 |
20K10419
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
神 光一郎 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (00454562)
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研究分担者 |
中塚 美智子 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (70368158)
宮川 淑恵 (濱島淑恵) 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (30321269)
芦田 麗子 大阪歯科大学, 医療保健学部, 講師 (40319455)
梶 貢三子 大阪歯科大学, 医療保健学部, 准教授 (80848383)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔崩壊 / 口腔と全身の健康状態 / 生活環境要因 |
研究実績の概要 |
本調査研究は、未だエビデンスを得ていない全身の成長発育が著しい乳幼児期(乳歯列期)におけるう蝕多発児童(口腔崩壊)の実態把握を行い、検証を行うことを目的として実施している。 当初の計画では、2020年度にフィールド調査を行う予定であったが、2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延の影響により、2022年度に入ってから大阪府下A市内の市立認定こども園(25園)に通う園児(1~5歳)ならびにその保護者(対象者3,033名)、ならびにこども園園長・保健担当者(対象者約50名)を対象とした質問紙調査を行った。また、こども園で定期的に実施している歯科検診データと質問紙調査結果との“紐づけ”を行い、乳幼児期の子ども達の全身の発育・成長の状況、生活習慣などとう蝕多発との関連性について検討することとした。そのため、本科研費助成事業の補助事業期間の延長を承認いただき、2023年度にかけて詳細なデータの分析を行っているところである。 質問紙調査の結果、園児の保護者からの有効回答者数は2,328名、有効回答率は76.8%であった。また、こども園園長・保健担当者からの有効回答数は132名であった。設問ごとの単純集計結果では、「発音・発語が聞こえ辛い」園児は16.4%であり5歳児でも11.2%が該当していた。「口呼吸を頻繁に行っている」園児は21.2%であった。また、「食事のスピードが相対的に遅い」園児は22.0%、「集中力がない」園児は7.6%という回答が得られた。 今後2023年度では、う蝕(治療による処置歯および治療を行っていない未処置歯)と発育・成長の状況、生活習慣などとの関連性について分析を行うとともに、こども園園長・保健担当者からの自由記述回答を量的分析手法(テキストマイニング〔主成分分析〕により明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、当初の予定では2020年度からの3年計画によりフィールドにおける口腔内状況の把握と質問紙調査を実施するはずであったが、2020年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延・拡大が収まらず、その影響によりフィールド現場での調査活動を延期せざるを得なくなった。 その後、調査対象であるA市内こども園を所管するA市役所担当課と綿密な打合せを行い、ようやく2022年4月~6月に質問紙調査を実施することができ、現在約1年遅れで調査結果の集計・分析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、質問紙調査で得られた回答について集計しているところであるが、今後こども園で定期的に実施している歯科検診データと質問紙調査結果との“紐づけ”を行い、乳幼児期の子ども達の全身の発育・成長の状況、生活習慣などとう蝕多発との関連性について検討する詳細な分析を行う予定である。 また、その分析結果については、学会発表とともに学術論文に取り纏め公表する予定である。併せて、調査対象であるA市内の市立こども園の園児・保護者、園長・保健担当者などにフィードバックするために、調査報告書を作成し配付する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に係る当初の実施計画では、1年目(2020年度)および2年目(2021年度)に地域(大阪府内)において乳幼児期における口腔崩壊に関する実態調査のためのフィールド調査、聞き取り調査を行う予定であったため、当該年度の予算として、調査実施のための情報収集に必要となる旅費、調査依頼資料や調査票の回収作業に伴う謝金、調査資料の印刷に係る経費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延の影響により、東京での情報収集が困難となり、またフィールド現場での聞き取り調査の実施や回収作業も不可となった。さらに、フィールド調査の実施の2022年度への延期とそれに伴うデータの集計・分析、学会発表、学術論文の作成・投稿、報告書の作成などの2023年度への後ろ倒しを余儀なくされ、ほぼすべての計画を約1年延長せざるを得なくなったことから、次年度使用額が生じることとなった。 2023年度では、データの分析、学会発表、学術論文の作成・投稿、報告書の作成などにかかる経費として次年度予算を使用いたしたい。
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