研究課題/領域番号 |
20K10421
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
谷原 真一 久留米大学, 医学部, 教授 (40285771)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療費 / 介護費用 / 国民健康保険 / 後期高齢者医療制度 |
研究実績の概要 |
平成22年4月1日時点でF県C町在住の国民健康保険被保険者あるいは後期高齢者医療制度対象者の65 歳以上の7,329 人を対象に平成22年度から27年度における対象者の診療報酬明細書と介護保険の請求明細書を匿名化した上で個人単位に連結して医療と介護を統合した費用の分析を実施した。 分析項目は、性、年齢、居宅単位(居宅サービスは、訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与など、居宅において利用する介護サービスの総称で、居宅単位はその介護保険上の費用である。本研究ではすべての居宅サービスの合算費用のデータである)、医科入院外点数、要介護度である。居宅単位および医科入院外点数は、それぞれ 1 人当たりの1 年間の合計を用いた。介護保険は一単位 10円(地域差指数 1)、医科の点数は 1 点 10 円であり、本研究では、それぞれの単位および点数を円に換算して居宅費用、入院外費用と定義した。 同一個人における居宅費用と医科入院外医療費(以下、入院外費用)の年間総計の 2 年間の変化を分析した。分析は平成22年と23年、同23年と24年、同24年と25年、同25年と26年、同26年と27年度の連続する二年度ごとに実施した。分析対象のデータは、調査対象の自治体においてハッシュ関数による匿名化を実施しており、個人特定可能な情報を含まない形 で提供された。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を受けた。 集計の結果、居宅サービス利用群の居宅費用は男女とも増加し、入院外費用は一部の年度で減少したが概ね横ばいであった。非利用者の入院外の費用は増加した年度が多かった。居宅サービス非利用群の入院外費用は平成24年度以降増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス対応のため、本研究にデータ提供で協力を得られる見込みであった自治体から、本研究へのデータ提供の延期の申し入れがあった。また、同様にデータ提供で協力を得られる見込みであった保険者協議会からも各保険者との調整に時間がかかり、本研究へのデータ提供に必要な手続きの開始が当初予定より大幅に遅延した。保険者協議会と研究者所属施設の間でデータ利用に関する契約手続きが完了したのが2020年末であった。その後、本研究の実施について研究者所属施設の倫理委員会に申請を行ったが、年度内に承認は得られなかった。そのため、今年度は本研究の前身である科学研究費助成事業(課題番号16K09151:研究課題名:ソーシャルキャピタルと地域住民の健康寿命及び医療費の関連についての実証分析)を通じて得られたデータを本研究においても継続使用することについて倫理委員会の承認を得た上で予備的な解析を実施するにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は当初予定したデータの入手が遅延したため、進捗に遅れが生じている。2021年度は2020年度に利用する予定であったデータを提供してもらうタイミングに可能な限り近いタイミングで2021年度に利用する予定のデータを提供してもらうように各種手続きをすすめることで2020年度の研究進捗の遅れを取り戻すように努める。 具体的には、2020年度に予定していた、国保被保険者および後期高齢対象者の入院外レセプト(医科,歯科,調剤)を分析することで地域住民におけるポリファーマシーの頻度を明らかにすることを優先的に実施する。研究の手順としては、ある県の国保連合会および保険者協議会を通じて国保被保険者および後期高齢対象者の入院外レセプトデータを個人単位で連結し,院内処方と院外処方を合算した上で期間中の処方薬剤数と一日当たりの使用薬材数を算出する。 その上で、2021年度に実施予定としていた、上記より求めた地域住民におけるポリファーマシーの頻度を用いて、国保および後期高齢の調剤医療費にポリファーマシーが与える影響の大きさを推計する分析を実施する。また、医科および介護レセプトのデータを個人単位で連結することでポリファーマシー該当者と非該当者の医療と介護を合算した費用を比較し、ポリファーマシーが地域の保健医療福祉財政に与える影響の大きさを推計する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス対応のため、本研究にデータ提供で協力を得られる見込みであった自治体から、本研究へのデータ提供の延期の申し入れがあった。また、同様にデータ提供で協力を得られる見込みであった保険者協議会からも各保険者との調整に時間がかかり、本研究へのデータ提供に必要な手続きの開始が当初予定より大幅に遅延した。保険者協議会と研究者所属施設の間でデータ利用に関する契約手続きが完了したのが2020年末であり、その後、本研究の実施について研究者所属施設の倫理委員会に申請を行ったが、年度内に承認は得られなかった。そのため、今年度予定していたデータ匿名化に必要な費用などを全て次年度に使用することとした。次年度は今年度使用予定であった費用を元々の計画に沿って使用する予定である。
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