研究実績の概要 |
地域住民における処方薬剤数の分布を検討する目的で2019年5月診療分のある県の国民健康保険および後期高齢者医療制度の医科または調剤の診療報酬明細書(以下レセプト)で処方薬剤数が2以上のものを分析した。レセプトデータは同県の保険者協議会において匿名加工を行い、研究者は個人を特定不可能な形で提供を受けた。なお、本研究は久留米大学医に関する倫理委員会の承認を受けた。レセプト単位での処方薬剤数の分布を検討した後に名寄せを行って個人単位での処方薬剤数の分布を検討した。条件に該当したレセプトは全体で42,022件であり、一件当たり11.06の薬剤が処方されていた。処方薬剤数の最大値は57であった。処方薬剤数が9のレセプトが4,304件(10.24%)ともっとも多かった。処方薬剤数が11以上のレセプトは21,101件(50. 21%)と過半数を占めていた。処方薬剤数が21以上のレセプトは1,264件(3.01%)であった。また、処方薬剤数が6~15のレセプトは33,443件(79.59%)であり、全体の8割弱が該当していた。レセプトの名寄せを行った結果、41,191人に対して464,637の薬剤が処方されており、一人当たり処方薬剤数の平均値は11.3であった。処方薬剤数の最小値は2、最大値は107であった。処方薬剤数が10の者が4,129人(10.02%)ともっとも多かった。処方薬剤数が11以上の者は21,333人(51.79%)と過半数を占めていた。処方薬剤数が21以上の者は1,529人(3.71%)であった。本研究は処方薬剤数のみを検討しており、外用薬や頓服薬も含めた解析のため、内服薬の処方薬剤数に基づくポリファーマシーの定義をそのまま当てはめることは困難である。しかしながら、一人当たり処方薬剤数が11以上の者が過半数を占めていたことを明らかにした。
|