研究課題/領域番号 |
20K10421
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
谷原 真一 久留米大学, 医学部, 教授 (40285771)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 診療報酬明細書 / 重複受診 / 多受診 / 国民健康保険 / 後期高齢者医療制度 |
研究実績の概要 |
地域住民における薬剤処方および薬剤費の状況を検討する目的で2020年2月診療分のある県の国民健康保険および後期高齢者医療制度の調剤の診療報酬明細書(以下レセプト)を分析した。レセプトデータは同県の保険者協議会において匿名加工を行い、研究者は個人を特定不可能な形で提供を受けた。なお、本研究は久留米大学医に関する倫理委員会の承認を受けている。 レセプトの名寄せを行った結果、54,059人に対して77,111件の調剤レセプトが存在していた。調剤レセプトが1件のみであった者が37,029人(68.5%)と全体の3分の2以上であった。2件以上の調剤レセプトを有していた者は17,030人(31.5%)と約3分の1であった。5件以上の調剤レセプトを有する者は270名(0.50%)認められた。調剤レセプトの点数の平均値は1506点であったが、50点未満のものや10万点を超えるものがあり、非常に分散の大きな分布であった。 本研究は薬剤レセプトのみを検討しており、医科レセプトを合算した医療費の総額ではなく、また内服薬剤処方数に基づくポリファーマシーの検討ではない。しかしながら、全体の約3分の1は複数の医療機関から処方箋を発行されて複数の調剤レセプトを有する、いわゆる多受診の状況にあることや、ごく一部の者ではあるが5件以上の調剤レセプトを有する者が存在しており、多受診以外に同じ診療科の異なる医療機関を同一月の間に受診するいわゆる重複受診の可能性が高い者が存在することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響による業務量増加のため、診療報酬明細書(レセプト)データの受け渡しに関する打ち合わせ等に支障が生じ、令和4(2022)年度分析予定であったデータの入手が令和4年度末になるなど大幅な遅延が生じたため、研究期間の延長を行った。今年度の検討では、提供を受けたデータの一部に非常に大きな値が存在し、システム上のエラーの可能性が考えられたが、新型コロナウイルス感染症の影響による業務量増加の他、データ提供元のシステム更新などにより、検証作業に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4(2022)年度に解析予定であったデータが新型コロナウイルス感染症流行などの影響により、納品が年度末になるなどの大幅な遅延が生じたため、当初の計画では3年間の予定であったが1年の延長申請を行った。令和5(2023)年度の研究においては、前年度末に提供を受けたデータの検証作業に時間を要したため、さらに1年の延長申請を既に行い、認可された。令和6(2024)年度は当初の計画に沿った解析を実施する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5(2023)年度は令和4(2022)年度末に納品が行われたデータの検証作業が中心であったため、分析作業に必要な器材などは過去の年度に購入したもので対応することができた。令和6(2024)年度はデータ分析作業の進行に応じて、当初の計画に沿った支出を実施する方針である。
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